FC東京戦で先制弾も、「納得できない。誰も喜んでいない」。浅野がそう反省した理由とは?

2016年06月17日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「自分の感覚としてはまだ走れていない」

FC東京戦では先制点を決めながら反省を口にした。「誰も喜んでいない」(浅野)。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 6月15日に味の素スタジアムで行なわれたFC東京対広島戦は1-1の引き分け。両チームとも精彩を欠くゲームだったが、リオ五輪世代の浅野は途中出場ながら広島に先制点をもたらす活躍をした。P・ウタカからの高速パスをアウトサイドで流し込んだゴールシーンについて、本人は次のように解説した。
 
「ウタカ選手が中を見ないで(クロスを)上げてくるだろうということは、自分も感覚として持っていた。速いボールだからこそ自分は当てればいいだけだった。足を振りに行く動作や、どこに狙うかという意識がなかったことが良かった。ウタカ選手のプレーがゴールの半分を占めていると思います」
 
 ゴールを決める秘訣のひとつは〝予測″だという。
 
「味方がどこでボールを持って、どういうプレーをしてくるかという予測があれば、ああいうゴールは生まれる。自らあそこまでボールを持ち込まなくても、味方があそこまでボールを持ってきてくれる。ゴール前で準備をしているだけで良い感じのプレーでした、今日のは。自分も前へ前へという意識は強いですけど、チームとしてそれを持てればいろんな形でゴールが取れると思います」
 
 実を言えば、リーグ戦では11試合ぶり(4節の大宮戦以来)の得点だった。しばらくゴールから見放されていたが、浅野に大きな焦りはなかった。
 
「特にプレッシャーはありませんでした。もちろん、ゴールが遠ざかっている意識はありましたけどね。それよりも大きかったのは、チームの勝利に貢献できていないという申し訳なさでした。プレッシャーというよりは、やるしかないという気持ちでした」
 
 FC東京戦でひとつゴールを決めてホッとしているかと言えば、そうではなかった。コンディションが上がりきらない状況に、むしろ苛立ちを隠せない様子だった。
 
「怪我が治ってから思うようなプレーができていなかった。コンディション調整がうまくできているかといえば、そんなに合わせるような時間はない。そこは自分でしっかりトレーニングして、残りの時間でケアして。そういう技術を身に付けないといけない。自分の感覚としてはまだ走れていない。自分の特長をいかしきれていない。もっともっとみんなを楽しませるプレーや、ゴールでチームの勝利に貢献したい」
 
 味の素スタジアムは、昨季に自身のリーグ初ゴールを決めた場所でもある。しかし、そこは「特に意識していなかった」。浅野は先制点を決めたことよりも、チームが勝てなかった事実を重く受け止めている。なにより重要なのはチームの勝利だという。
 
「自分のゴールよりもチームの勝利が大事。勝って広島に帰るのが一番の喜びですが、今日はそれができていない。納得できない。だれも喜んでいない。今日の試合で出た課題は、これから成長するための肥料として次の試合に向けて取り組んでいければといい」
 
 6月29日にはU-23日本代表として戦う南アフリカ戦もある。ここからどこまでコンディションを高められるか、広島で白星を掴むことが最高のエネルギーになる。
 
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