「赤ちゃんの時から知り合い」東北学院のGK橋本脩礼のアシストでMF佐々木智貴がダメ押し弾。指揮官の父も感涙【選手権】

2024年12月30日 小林健志

低い弾道のキック、ドリブルで突進

幼馴染の2人、佐々木(左)と橋本が大舞台で思い出に残るゴールを演出した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権・1回戦] 東北学院(宮城)3-1 奈良育英(奈良)/12月29日/ニッパツ三ツ沢球技場

 37大会ぶりに選手権に出場した東北学院が、42大会ぶりの勝利を挙げた。1回戦の奈良育英戦、立ち上がりから勢い良く攻めた東北学院は前半7分、ペナルティエリア近くで直接FKを得ると、MF佐藤成真が鮮やかな一発を決めて先制する。

 しかしその後、風下に立った影響で、奈良育英のロングボールを受け続ける展開となり、前半終了間際の40+2分に同点に追いつかれてしまう。それでも後半、東北学院は7分にMF杉山和勢のCKからキャプテンのDF阿部幹大のヘディングシュートが決まって再び勝ち越した。

 そして後半36分、相手のセットプレー直後、GK橋本脩礼の低い弾道のキックがMF佐々木智貴につながり、佐々木はドリブルでゴールへ突進し、相手GKをかわしてゴールを決めた。

「最後の方でもう足がきつくて、でも走らなきゃダメだ、やるしかないと思って決められて本当に嬉しいです」と佐々木は笑顔を見せ、これがダメ押し点となり、3-1で東北学院が2回戦に駒を進めた。
【動画】3発快勝! 東北学院vs.奈良育英ダイジェスト
 実は橋本と佐々木は幼なじみ。小学生時代も東北学院中高でもずっと一緒にプレーしてきた。橋本は「赤ちゃんの時から知り合いというくらい、僕の中ではもう家族の一員みたいでずっと一緒にいます」、佐々木も「物心がついた時には、すでに脩礼とサッカーをしていました。もう長く一緒にいすぎて普通の会話を逆にしないくらい」と語るほど深い仲だという。

 それもそのはず。橋本の父親は、ベンチにいる東北学院OBでもある橋本俊一監督。そして佐々木の父親と橋本監督は東北学院での先輩後輩の間柄で、家族ぐるみの付き合いをしてきた。

 それだけに幼なじみのホットラインで生まれたゴールは、橋本と佐々木の2人も、そして監督も感慨深げだった。橋本は「父も智貴のことを息子のようにかわいがっていて、家族みたいな存在なので、僕のアシストで智貴が点を決めてくれて、『橋本家、佐々木家で大喜びだ』と(父から)言われました」と語り、佐々木も「脩礼だから決めたということは、ないのかもしれないですけど、それもちょっとあるのかなと思っています」と特別な感情を抱いていた。

 前日のミーティングで佐々木は、大学進学後はサッカーをする予定ではないことをチームメイトに伝えたという。それもあって橋本監督は「ゴールキーパーのうちの息子は、智貴とずっと幼少期からやってきて、智貴からそれを言われると『一日でも長くやりたい』と涙ながらに語っていました。よく智貴も走ってくれました。あのゴールは嬉しかったですね。息子のあんなキックも見たことがなかったです。記憶に残る思い出のシュートになって感無量です」と、囲み取材中に目に涙を浮かべながら喜んでいた。

「勝っても負けても(一緒にサッカーするのが)終わってしまう」と語るGK橋本。幼なじみの2人で一日でも長くサッカーができるよう、2回戦も全力で戦う。

取材・文●小林健志(フリーライター)

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