「Jリーグでバリバリならこっちでもやれる。ただ…」ベルギー1部の日本代表コンビが体現する“欧州で活躍するためのヒント”【現地インタビュー】

2024年12月28日 中田徹

欧州ルーキーを支える、頼もしきふたりの先輩

ふたり揃って取材に応じてくれた渡辺(右)と伊藤(左)。上位を窺うヘントを攻守両面でリードする。写真:中田徹

 ヘントの鉄人・渡辺剛は今季も健在だ。ここまでベルギーで20節、フル出場を続けている。

 10月3日のカンファレンスリーグ(UECL)、チェルシー(イングランド)戦でチームは2-4で敗れたものの、敵地スタンフォード・ブリッジでゴールを決めて欧州に名を轟かせた。またチームリーダーとしての信頼が厚く、今季は公式戦9試合でキャプテンの腕章を巻いている。
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 昨夏、浦和レッズからヘントに移籍した伊藤敦樹の存在感も増している。初スタメンのクラブ・ブルージュ戦(9月22日。4-2)で強豪撃破に貢献すると、セントラルMFのレギュラーの座を勝ち取った。12月7日のシント・トロイデン戦(2-0)で渡辺のアシストから待望のゴールを記録し、22日のスタンダール戦(1-0)では攻守に八面六臂の活躍。62分に相手シュートをゴールライン上でスーパークリアをみせ、82分にはダイナミックな攻め上がりから左足で地を這うミドルシュートでGKのファンブルを誘い、これがフランク・スルデスの値千金の決勝ゴールに繋がった。

 今年最後の試合となったユニオン・サン=ジロワーズ戦は1-3 の完敗を喫したものの、渡辺と伊藤は充実のシーズンを過ごしている。ロッカールームから同時にミックスゾーンに姿を現したふたりに、ここまでの感想などを伺った。

 渡辺がFC東京からコルトレイクに移籍したのは22年1月のこと。年明け最初のヘント戦でフル出場する幸先良いスタートを切ったものの、その後は出たり出なかったり。控えメンバーにすら入れないことが5回もあり、最初の半年は7試合にとどまった。だからこそ、欧州ルーキーの伊藤がベルギーリーグとUECLで活躍する様に、渡辺も感心するところがあるのではないだろうか?
 
 渡辺「俺も最初、言ってたんですよ。『最初の半年は苦しい。試合に出られない可能性もあるよ』と。試合に出てもスピード感が違う。フィジカルが違う。戦術も違う。ポジションも求められるところが違う。でも敦樹は適応が早かった。今は攻撃的ではなく守備的にやらされているけれど、スタンダール戦は完璧だった。もうマン・オブ・ザ・マッチですよ。ドッシリしている。ビビってない」

 伊藤「タイミングだったり、怪我人もあったり、いろんな運もあったのかなと自分では思ってます。やっぱり、このチームには剛くんやダンくん(シュミット・ダニエル)といった日本人選手がいて、自分は少しコミュニケーションの部分で苦手なところがあるので、そこでかなり助けてもらっているところがある。こうして、うまくチームに入れたのが大きいかなと思います」

 渡辺「環境が良いです」

 伊藤「間違いなく環境が良いです。まず、ここ来る前に剛くんにZOOMで相談したんです。チームの状況とか、街のこととかいろいろ聞いて、そこで自分の中で整理できたところもありました。こっちに来てから常に一緒というか、そういった面で助けてもらいました。ダンくんに関しても、英語が流暢なので監督とのミーティングでも、わざわざダンくんが来てくれて通訳してくれました。だから俺が言いたいことも、ダンくんを通してやったりとか。私生活も助けてもらってます」

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