チェコの堅陣をこじ開けたのはCBのピケ! 王者スペインが苦しみながらも白星発進

2016年06月14日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

圧倒的にボールを支配したスペインだが、決定力不足を露呈して

ようやく均衡が破れたのは終了間際の87分。イニエスタのクロスをピケがヘッドで合わせた。 (C)Getty Images

 6月13日、フランスのトゥールーズで行なわれたグループDのスペイン対チェコ戦は、前回王者のスペインが1-0で勝利。前人未到の大会3連覇に向けて、苦しみながらも白星スタートを切った。
 
 この大会初戦を前に、GKデ・ヘアの"セックス・スキャンダル"に見舞われたスペインだが、デル・ボスケ監督はそうした醜聞をピッチには持ち込まないと内外に宣言するかのように、ベテランのカシージャスではなく、あえて当事者であるデ・ヘアをゴールマウスに立たせた。
 
  そんなベテラン指揮官の気概が、選手たちを鼓舞した部分もあっただろう。立ち上がりこそやや硬さが見られたものの、10分過ぎからスペインはイニエスタとシルバに両SBが積極的に絡むボール回しでゲームを支配し、チェコを自陣に釘付けにする。
 
  16分にはファンフランとシルバのコンビで右サイドを崩し、シルバのグラウンダーのパスにモラタが飛び込む。29分、イニエスタの縦パスを収めたモラタが、相手DFのタイミングをずらして左足を振り抜く。さらに40分にはイニエスタのパスを受けたジョルディがシュートと、スペインが一方的に攻め立てる。
 
  だが、プレーメーカーのロシツキもディフェンスに加わるチェコの人海戦術、そして守護神チェフの好セーブに阻まれ、いずれも得点には至らない。
 
  後半に入っても攻め手を緩めないスペインだったが、フィニッシュの精度を欠いて最後の一線を越えられずにいると、逆に57分と65分にクレイチの高精度の左足プレースキックからチェコにあわやのシーンを作られる。
 
  とりわけショートCKからゲブレ・セラシェにヘッドで合わされた場面は決定的で、セスクのゴールライン手前での懸命のクリアがなければ失点は免れなかっただろう。
 
  ようやくスペインがチェコの堅陣を破ったのは、引き分け濃厚と思われた87分。それまで再三決定的なチャンスを演出してきたイニエスタの左からのクロスを、セットプレーの流れで前線に残っていたピケが頭で押し込んだのだ。
 
  アディショナルタイム、ダリダの一撃をGKデ・ヘアが弾き出し、なんとか逃げ切ったスペイン。戦前から懸念された決定力不足という課題を露呈しながらも、史上初の大会3連覇へ、まずは価値ある1勝を手に入れた。
 
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