再び五輪世代を託された大岩剛監督への期待感。過去に例を見ない早期着任&挑戦2度目のメリットは? 前回大会の経験が強みに

2024年12月13日 松尾祐希

誰かがやらなければならない

パリに続いて五輪世代代表チームの指揮官に就任した大岩監督。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 12月12日の夕方、PCメールに日本サッカー協会から1通のメッセージが届いた。

「【U-23日本代表】第34回オリンピック競技大会(2028/ロサンゼルス)U-23日本代表監督・スタッフについて」

 10月あたりから、メディアを通じてJクラブで指揮を執る可能性が噂され、大岩剛監督が日本代表を率いる確率はかなり低いと思っていた。だが、パリ五輪世代のチームを追いかけた筆者としては、もう一度、オリンピックを目ざす戦いに身を投じて欲しい想いがあったし、心のどこかで「大岩さんなら率いてくれるんじゃないか」という期待があった。

 9月初旬に行なわせてもらった、パリ五輪世代チームを率いる指揮官としてのラストインタビュー。最もマネジメント面で影響を受けたスペイン代表の事例を踏まえ、大岩監督が残した言葉に就任の可能性を感じていた。

「スペインはずっと同じ指導者が同じ年代をずっと見ている。入れ替えは少しあるけど、継続しながら年代別代表を強化している。それは一つの方法かもしれない」
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 その一方で大岩監督は、同じ人が継続して指導する難しさを痛感している。インターナショナルマッチウィーク外に開催される五輪特有の招集問題は簡単に解決できるわけではなく、スタッフの待遇面なども課題が多い。そうした複数の側面を踏まえ、「誰がやるんだろう。本当に大変だからね」とも話していた。

 だからこそ、誰かがやらなければならないという思いがあったのは事実。日本サッカー界のために大岩監督が立ち上がったとも言える。

 五輪代表のやりがいについて、12月13日の記者会見で指揮官は想いを口にした。

「選手が成長して、今年の5月にアジアカップを優勝してから8月のオリンピック本大会までの間も含めて、いろんなイレギュラーな出来事がありました。選手はそういう困難な状況に向かっていく時に成長する。その実感はかなり得られた。

 それが喜びだったのかもしれません。先ほども言ったように、選手の成長を促すこと(がやりがい)なのかもしれませんね。それは次のロス五輪に向けて、当然私の中でひとつの成功体験。それを含めて、継続と一貫というモノを大きなキーワードとして持っていたい」

 では、次の4年間で大岩監督に求められるタスクは何か。それは言うまでもなく、金メダルの獲得と選手の育成だ。だからこそ、前回大会の経験を踏まえ、"継続と一貫性"を持てるのがロス五輪世代の強みとなる。
 

次ページ期間の長さはプラスに働く

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