チヤホヤされても負ければ自分の責任。神村エース名和田我空が痛感した“勝つことの難しさ”。卒業後もかかる期待を背負う覚悟も

2024年12月12日 安藤隆人

「今年のチームらしい」ドロー決着に

高校ラストゲームでは1G1Aの活躍を見せた名和田。写真:安藤隆人

「お互い攻撃を持ち味にしていて、カウンターゲームだったのですごく楽しかったです」

 プレミアリーグWEST最終戦、静岡に乗り込んで静岡学園と対戦した神村学園のエース名和田我空はこう口にした。

 この試合、インサイドハーフでプレーした名和田は、瞬間的なスピードと相手に身体を預けながらのボールキープや、細かいスプリントを入れてコースを変化させる読みづらいオフの動き、そして両足のボールタッチや多彩なアイデアと引き出しを持つドリブル、裏を取る動きを随所に見せた。

 開始早々の6分にCB鈴木悠仁の縦パスに抜け出すと、GKと1対1のビッグチャンスを作った。これは得点にならなかったが、36分に名和田が相手のクリアを拾ってそのままドリブルで仕掛けると、中央のスペースに潜り込んだMF福島和毅へパス。福島の先制弾をアシストした。

 1-1で迎えた62分には左サイドでボールを持ったMF松下永遠に対し、斜めの縦パスを受けようとペナルティエリア左角のスペースに走り込もうとする。松下がさらに左にいるMF大成健人にパスをした瞬間に判断を変えて、一気にペナルティエリア中央のスペースに向けてスプリントした。

 名和田の突然の方向転換に静学DF陣が困惑するなか、大成から送られたクロスにドンピシャヘッドで合わせ、勝ち越し点をマークした。
 
 81分に粘る静学に再度同点にされ、結果は2-2のドローに終わったが、お互いが攻撃的なサッカーを掲げ、駆け引きと技術で相手を圧倒するスタイル同士の戦いもあって、ハイレベルな駆け引きと技術の応酬は見ていて面白かった。

 そのなかでも1ゴール・1アシストと全ゴールに絡む主役級の活躍を見せた名和田は、71分に投入された川崎フロンターレ加入内定の静岡学園DF野田裕人と見応えあるマッチアップ。この日に時之栖グラウンドAに集まった多くの観衆を何度も沸かせた。

 名和田にとってこの試合が高校ラストゲームだった。最後の大会になるはずだった冬の選手権は、鹿児島県予選決勝で鹿児島城西に敗れたことで潰えていた。

「有村圭一郎監督からも話がありましたが、『インハイで最後勝てなくて(準優勝)、選手権も予選決勝で勝てなくて、プレミアも最後引き分けで終わってしまったのは、今年のチームらしい』と言われたのですが、まさにその通りで、その甘さが最後まで拭えなかったし、勝つことが本当に難しいと僕もチームも感じています」

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