「想像を絶する人的被害の懸念」2034年W杯のサウジ開催決定を欧米大手メディアが非難。“出来レース”を進めたFIFAに苦言「入札のプロセスに疑問が残る」

2024年12月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

「人権侵害の悪評を払拭するためにこの大会を利用」

開催地を発表するFIFAのインファンティーノ会長。(C)Getty Images

 12月11日にオンラインで行なわれたFIFA(国際サッカー連盟)の臨時総会で、2030年と2034年のワールドカップ開催地が決定した。

 前者は、スペイン、ポルトガル、モロッコの3か国共催&ワールドカップ100周年となるため、第1回大会のホスト国であるウルグアイをはじめ、アルゼンチン、パラグアイの南米3か国で1試合ずつの実施となり、後者はサウジアラビアの単独開催となった。いずれも対立候補がないため、拍手による承認で決定している。

 ただ、欧米の大手メディアは、サウジ開催を疑問視している。米放送局『CNN』は「人権団体は『想像を絶する人的被害を警告』と見出し打ち、次のように伝えた。

「Human Rights Watch(HRW)の中東・北アフリカ担当副局長マイケル・ペイジ氏は最近、おそらく世界最大のスポーツイベントをサウジアラビアで開催することによる『想像を絶する人的損失』について警告した。これは、複数の人権団体が湾岸諸国における移民労働者の虐待、言論の自由、少数派の権利などの問題について警告している中での発表である」
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 記事は「HRWの最近の報告書『先に死んでくれ、後で償う』では、サウジアラビアは人権侵害の悪評を払拭するためにこの大会を利用していると主張している。この報告書は主に移民労働者の待遇に焦点を当てており、HRWは彼らがサウジアラビア・ワールドカップの夢の実現の矢面に立つことになると述べている」と報じている。

「報告書は『労働者は契約のすり替え、法外な募集料、賃金の未払い、雇用主によるパスポートの没収、強制労働など、広範囲にわたる虐待にさらされている。近年、サウジアラビアが発表した一連の改革にもかかわらず、雇用主は依然として労働者に対して不釣り合いなほどの支配力を持っている』と綴った」

 英衛星放送『SKY SPORTS』も「サウジアラビアが2034年ワールドカップ開催地に選出されたが、入札のプロセスには依然として疑問が残る」と題した記事を掲載。次のように伝えた。

「2034年にワールドカップを王国に招致するための野望や支出に制限はなく、入札競争に勝つ必要もない。サウジアラビアはFIFAにお世辞を言い、資金を提供し、投票ではなく諸国の喝采によって、2034年ワールドカップの開催国として承認されることになった」
 

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