セルビア代表コーチを経て初の監督挑戦へ。悩んだ決断、ミスターからの言葉【喜熨斗勝史の欧州戦記】

2024年12月06日 サッカーダイジェスト編集部

悩んだ監督就任のオファー

マレーシア1部のセランゴールFCの監督に就任した喜熨斗氏。その決断に向けては悩んだともいう。

 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。"ピクシー"と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。今回がいよいよ最終回。マレーシア1部のセランゴールFCの監督就任への想いなどを語ってくれた。

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 ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、11月25日にマレーシア1部のセランゴールFCの監督に就任しました。セルビア代表コーチとして「欧州戦記」を綴ってきましたが、今回が最終回になります。この場を用意してくださったサッカーダイジェストさんを始め、多くの方に支えられた4年弱に感謝いたします。

 21年3月に就任して以降22年ワールドカップ・カタール大会、日本人指導者初のEURO本大会でのベンチ入り、そして現在の欧州ネーションズリーグ。ハイレベルな選手とともに熾烈な戦いを毎年繰り広げてきたこの期間は本当にプライスレスな経験になりました。勿論、これまでのJクラブや中国での歩みも財産で、それを自分の中でどう昇華させていくのか――その最終目的は監督になって表現することでした。

 日本での指揮も視野に入れていた中、セランゴールは監督経験のない私の経歴を高く評価してくれました。11月のネーションズリーグ(15日・スイス戦、19日・デンマーク戦)前から水面下で話が進み、代表期間中に正式オファーが届きました。でも悩んでいました。
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 なぜならばネーションズリーグはカテゴリー分けがされていて、セルビア代表は最高峰のAグループに所属。今回のレギュレーションから各組4位は自動的にBグループに降格し、3位はプレーオフに回ることになっています。11月の2試合が始まる前、セルビア代表は最下位のスイス代表と勝点3差の3位。もしもスイス代表戦に敗れていれば当該対戦成績が優先されるため、得点差次第では最下位に転落する恐れがありました。

 もしもBグループに降格していたら、私はセランゴール監督に就任することはなかったと思います。セルビア協会との契約も1年以上残っていたため、26年ワールドカップ北中米大会出場を目指していただろうと思います。その中で迎えたスイス戦は、終了間際にDFアレクサ・テルジッチが同点弾。当該対戦成績を1勝1分としたことで取り敢えずはAグループ残留の可能性を残すことができ、決断しました。
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