1ゴール・1アシストを挙げた開催国フランスの救世主パイエ。現地メディアには「Merci Payet !」の文字も!

2016年06月11日 白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

左サイドを起点に中央、さらには右サイドまで侵入する神出鬼没な動き。

奮迅の活躍でフランスに勝利をもたらしたパイエ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 現地時間6月10日のEURO2016開幕戦。フランスはルーマニアを相手に思わぬ苦戦を強いられる。前半はオリビエ・ジルーとアントワーヌ・グリエーズマンが二度ずつ絶好機を逃し、スコアレスでハーフタイムを迎えた。

【PHOTO】開催国・フランスを救ったパイエ、涙の決勝ミドル!!
 
 後半はそれまで好パスを供給していたポール・ポグバが相手のプレスに引っかかりはじめ、存在感が希薄に。ますます追い込まれた。
 
 そんな開催国を救ったのが、ディミトリ・パイエだ。左サイドを起点に中央、さらには右サイドまで侵入する神出鬼没な動きを見せてボールを巧みに引き出し、持ち前のドリブル、キープ力、そしてパスでルーマニア守備陣を翻弄。得意のプレースキックでも相手に冷や汗をかかせた。
 
 そして57分、先制点を演出する。右サイドでボールを受けて中央をルックアップし、左足でクロスを供給。飛び込んだジルーが相手GKチプリアン・タタルシャヌとの競り合いを制して、頭でボールを叩き込んだ。
 
 しかし、フランスは65分にPKで被弾。同点とされ、ディディエ・デシャン監督は66分にグリエーズマンをキングスレー・コマン、77分にポグバをアントニー・マルシアルに代えて、システムを4-3-3から4-2-3-1に変更。パイエはトップ下にポジションを移した。
 
 フランスはそれでもゴールを奪えず、ジリジリと時間だけが過ぎていく。しかし、ロスタイムに突入しようかという89分、パイエが大仕事をやってのける。
 
 後方からパスを受けてワンタッチで前を向くと、敵3人に囲まれながら左足を一閃。強烈なシュートはファーサイドのサイドネットに突き刺さる。文字通り起死回生の逆転ゴールだった。
 
 効き足ではない左足で1ゴール・1アシスト。開催国フランスを窮地から救った救世主パイエには、直後の交代時に特大のスタンディングオベーションが送られた。『フランス・フットボール』WEB版の見出しに踊った「Merci Payet !」という文字は、国民の気持ちを端的に表わしたものだったはずだ。
 
 前線の主力だったカリム・ベンゼマとマテュー・ヴァルビュエナがセックス・スキャンダル事件の影響で招集外となり、再編を強いられたフランスの攻撃陣。開幕戦で主役となったのは、小柄なテクニシャンのパイエだった。
 
現地取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)
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