逆転PK弾のジュビロ山田大記に勇気づけられて――山雅の大黒柱・山本康裕の燃えたぎる気持ち「彼に届くぐらいの活躍をしたい」

2024年12月01日 元川悦子

1-1ドローで決勝進出

福島戦でも攻守に奮闘した山本(15番)。(C)J.LEAGUE

 J2行きの残り1枠を4チームで争うJ2昇格プレーオフ。その準決勝が12月1日に行なわれ、今季のJ3で4位の松本山雅FCは5位の福島ユナイテッドFCを本拠地サンプロアルウィンで迎え撃った。

 1万2604人というJ3とは思えない大観衆がスタジアムを埋め尽くすなか、圧倒的な後押しを受けて戦うことができた山雅。しかしながら、開始早々の10分、福島の快速左ウイング森晃太の突破からFW樋口寛規にテクニカルな左足シュートを決められ、まさかのビハインドを背負うことになったのだ。

「やっぱり失点する時間が早すぎましたね」

 こう反省の弁を口にするのは、35歳のベテランボランチ山本康裕。「福島のこれまでのサッカーを見ていると、1失点は想定内だった。でもワンチャンスを入れられるというのは、今年の僕らを象徴するような感じでしたね」と厳しい表情で言う。

 それでも、リーグ終盤5連勝で勢いに乗ってプレーオフに参戦してきた今のチームには『負けない自信』がある。山本とコンビを組む安永玲央も「誰も全然焦ってなかったし、必ず1点を取れると思っていた」と力強くコメントする。
 
 前向きなマインドを失わなかった仲間たちを、山本は中盤で統率。危ない場面では確実に穴を埋め、味方をフォロー。チーム全体を鼓舞し続けたのだ。

 迎えた後半。「相手も"らしくないプレー"があって、自分たちのプレッシャーをけっこう感じているのかなというふうに見て取れたので、『これはチャンスだな』と思いました」と山本は判断。一気にギアを上げていった。

 それが65分の同点弾につながる。菊井悠介の右CKを打点の高いヘッドで合わせたのが長身DF野々村鷹人だ。彼は前半の失点に絡んでおり、絶対に取り返してやろうと闘志を燃やしていたに違いない。

 この1点で山雅は1-1のドローに持ち込み、「上位チームは引き分けOK」のルールにも救われる形で決勝に進出。12月7日にカターレ富山と敵地で戦うことになった。

「僕自身、プレーオフ自体をやったことがあまりないので、自分の経験うんぬんは何とも言えないんですけど、今日の勝ち上がりは本当にこのスタジアムだったからこそ。自分たちが頑張って上の順位に入ったから、このスタジアムで戦う権利を勝ち取れた。それが報われたのかなと思います」と山本もしみじみと語る。長いキャリアの中でここまでのギリギリ感を覚えた経験は数少ないのだろう。

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