菅原由勢の衝撃。満を持して示した存在感。右ウイングバックの新たなサバイバルとバリエーション増加への期待感【日本代表】

2024年11月16日 元川悦子

本人もチームも活気づかないはずがない

インドネシア戦で62分に投入されて最終予選初出場の菅原。ゴールを決めたほか、パンチ力のあるミドルも放った。(C)SOCCER DIGEST

 6万人を超えるホームの大サポーターに、試合開始直前に降り出した大雨、ボコボコで水を吸ったピッチ...。11月15日に敵地で行なわれた北中米ワールドカップ・アジア最終予選第5節のインドネシア戦は、日本代表にとって非常に難しい一戦だった。

 実際、序盤は相手の鋭いカウンターに苦しみ、あわや失点というピンチにも見舞われた。それを守護神・鈴木彩艶(パルマ)が阻止し、日本は前半のうちに相手のオウンゴールと南野拓実(モナコ)の得点で2点をリードする。

 優位な状況で後半に突入し、さらに守田英正(スポルティング)が3点目を奪取。これで勝負をほぼ決めたと思われた。

 けれども、大観衆の声援を受けたインドネシアは諦めず、闘争心を前面に押し出してきた。その反撃ムードを完全に断ち切ったのが、62分から右ウイングバックで途中出場し、69分に4点目を叩き出した菅原由勢(サウサンプトン)だ。
 
 6月からの3バック移行によって出番を失っていた男が、最終予選初出場でいきなり初ゴールを奪ったのだから、本人もチームも活気づかないはずがない。

 3バック右の橋岡大樹(ルートン)と右シャドーに入った伊東純也(S・ランス)、そして菅原の3人が絡んで右サイドを攻略。最後はドリブル突破から角度のない位置で右足を振り抜く。ニアをぶち抜く強烈なシュート。見る者の度肝を抜いたのは間違いない。菅原はマン・オブ・ザ・マッチに値するインパクトを残したと言っていいだろう。

「僕自身、運ぶなかでゴールも近くなってきたので、『シュートを打とう』と最後は自分で決心して打ちました。自分も人間なので、全部が全部、人生がうまくいくわけではないし、ああでもない、こうでもないと言い訳したくなることもある。でも、しっかり自分自身に矢印を向けて、常に考えるべきだと思っていました」と、菅原は苦しい時期もとにかく前を向いて懸命に取り組んできたと明かす。

 今回の試合会場となったゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムは、ゲンの良い場所でもある。2018年10月のU-19アジア選手権の準々決勝で、インドネシアを2-0でくだしてU-20W杯の切符を掴んだ。当時の菅原は先発フル出場。6年前に世界行きを決めたスタジアムで、森保ジャパンでのリスタートを切ることになるとは。いずれにしても、菅原はようやく2026年W杯への力強い一歩を踏み出したのだ。

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