「メンタルに来るものがある」日本代表で痛恨OG、4日後に15分で一発レッド…STVV谷口彰悟が語った心中。声を震わせながら「僕が試合を壊してしまった」【現地発】

2024年10月21日 中田徹

「僕も想像してなかった」

ヘンク戦でレッドカードを受けた谷口。(C)STVV

 シント=トロイデン(STVV)のDF谷口彰悟の言葉が、今の日本代表の強さを簡潔に言い表している。

 彼は9月1日のコルトレイク戦後、「もちろん試合に出れば勝利に貢献できるように頑張りますし、チャンスをもらえなくても、日本のためにできることを精一杯やっていきたいなと思います」という言葉を残してベルギーを発った。そして、ワールドカップ・アジア最終予選の中国戦(7-0)、バーレーン戦(5-0)の完封勝利に貢献してSTVVに戻ってきた。

 W杯予選の最初の山場となった10月シリーズで、日本はサウジアラビアに2-0で勝ち、オーストラリアには1-1で引き分けた。

 オーストラリア戦の田中碧は、谷口の言葉を具現化した選手だったのではないだろうか。もし遠藤航の体調不良が無ければ、出番はなかったかもしれない。幸い、このMFはオーストラリア戦でスポットライトを浴びたが、この2か月間、出番の全く無かった選手もいる。映像に流れるベンチを見ていると、日本代表はスタメンで戦う11人+準レギュラー陣に加え、『たくさんの田中碧』が共に戦っているのを感じる。
 
 日本代表がチームとしてバイオリズムを高めているなか、個としてその勢いを少し落としている選手がいる。他でもない谷口だ。

 15日のオーストラリア戦でクロスの処理を誤ってオウンゴールを献上し、10月20日のヘンク戦では開始15分で相手ストライカーの踵を引っ掛けって決定機を阻止し、レッドカードをもらってしまった。ベルギーリーグ屈指の攻撃力を誇る首位ヘンクが相手だっただけに、残り75分間を数的不利で戦うことになったSTVVはワンサイドで負ける可能性もあった。

 結局、このタービーマッチに敗れはしたものの、最後までスリリングな試合を展開し2-3の惜敗に終わった。

 ミックスゾーンに谷口が現れると、地元紙記者が呼び止め英語のインタビューが始まった。

「今日のパフォーマンスにガッカリ。僕が試合を壊してしまった。決して故意のファウルではない。僕はただ走っていただけ。アクシデントだった」

 そう語る表情はこわばり、声は震えていた。ベルギーメディアとのインタビューを終えた後、「退場したことより、メンタルのほうが心配です」と声をかけた。

「代表の試合でオウンゴールをしてしまい、帰った直後の試合で前半開始早々に退場してしまうというのは、僕も想像してなかった。この試合の重要性、ダービーで負けられない相手というところを含めて自分たちのパフォーマンスを発揮したいと思っていた中でのレッドカードだったので、やっぱりメンタルに来るものがあります。ここから立ち上がって前を向いて次に進まないといけない」
【動画】開始15分でまさかのレッド。谷口の痛恨退場シーン

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