【今日の誕生日】6月3日/クラブでの不遇を乗り越えて2年前の偉業を再現できるか――ゲッツェ(ドイツ代表)

2016年06月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

W杯史上18人目の“偉人”が送るベンチに座り続ける日々…。

10年にA代表として初キャップを刻み、現在までに51試合17得点の記録を残している。EUROでどこまで伸ばせるか。 (C) Getty Images

◇マリオ・ゲッツェ:1992年6月3日生まれ ドイツ・メミンゲン出身
 
 間もなく開幕するEURO2016で、世界王者ドイツはもちろん優勝候補のひとつである。
 
 左サイドのアタッカーとしてスタメン候補だったマルコ・ロイス(ドルトムント)が、ブラジル・ワールドカップに続き、またしても大会直前で離脱というアクシデントに見舞われたものの、それでもチームのポテンシャルは出場24か国のなかでトップクラスにある。
 
 そんな強力なチームのトップとして君臨するのが、24歳になったばかりのマリオ・ゲッツェだ。
 
 所属するバイエルンもブンデスリーガ史上初のリーグ4連覇を果たし、彼自身も気分良くEUROへ……というわけにはいかない。
 
 代表チームではヨアヒム・レーブ監督の絶大な信頼を受けて地位を確立している彼も、今シーズン、バイエルンでの出場はわずか14試合止まり。ジョゼップ・グアルディオラ監督の構想から外れた彼は、重要な一戦でピッチに立つことはほとんどなかった。
 
 この1年、常に移籍の噂が付きまとうという不安定な立場が、彼にはあまりに不似合いだ。その才能をフルに発揮しているとは言えないものの、そのテクニックは世界的にもトップクラスにあり、毎週末の90分間をベンチで過ごすような選手ではない。
 
 そして何より彼は、サッカーの歴史において、これまで18人しか得ていない最高の勲章を持つ"偉人"なのである。2年前、アルゼンチンとの決勝戦の延長後半、ドイツを4度目の世界一に導いたのは、ゲッツェの鮮やかな胸トラップからのシュートだった。
 
 24歳にして、すでに歴史に名を残した天才は、少年時代に加入したドルトムントで09年にプロデビュー。2シーズン目、香川真司がアジアカップでの骨折により戦線を離脱すると、その穴を埋める活躍ぶりで一気に頭角を現わした。
 
 9シーズンぶりのリーグ優勝に大きく貢献した彼は、翌シーズンでリーグ連覇を経験。この頃は「ドルトムントは居心地の良いクラブであり、出ていくことなんて考えられない」と語っていたが、その1年後にはバイエルン移籍を決意する。
 
 シーズン途中にライバルチームの一員となることを発表したことで、ドルトムントのサポーターから非難を浴びたが、それでもグアルディオラに憧れ、彼の下でプレーすることを望んだゲッツェは、バイエルンでのファーストシーズンで27試合出場10得点の記録を残した。
 
 そして、シーズン後のブラジルW杯。6試合に出場し、決勝戦のウイニングゴールを含む2ゴールを挙げ、栄光のメンバーの一員となった。代表選手としては、09年のU-17欧州選手権以来のタイトル獲得だった。
 
 ここから、一気に彼のキャリアはクラブレベルでも急上昇を遂げると思われたが、14-15シーズンは序盤こそゴールラッシュを見せたものの、徐々にトーンダウン。明らかな伸び悩みを見せ、それは次の苦悩に満ちたシーズンに繋がっていった。
 
 不本意ながら、エネルギーを十分に残した状態でゲッツェはEURO2016に臨む。ここで2年前同様に歴史に残るプレーを披露できるか。そして、その後は? 新指揮官カルロ・アンチェロッティが到来するバイエルンに残るのか、それとも……。彼の去就には、多くの注目が集まっている。
 
◇歴代W杯決勝・決勝ゴールスコアラー/決勝結果
2014:マリオ・ゲッツェ/ドイツ 1(延長)0 アルゼンチン
2010:アンドレス・イニエスタ/スペイン 1(延長)0 オランダ
2006:PK戦決着/イタリア 0(5PK4)0 フランス
2002:ロナウド/ブラジル 2-0 ドイツ
1998:ジネディーヌ・ジダン/フランス 3-0 ブラジル
1994:PK戦決着/ブラジル 0(3PK2)0
1990:アンドレアス・ブレーメ/西ドイツ 1-0 アルゼンチン
1986:ホルヘ・ブルチャガ/アルゼンチン 3-2 西ドイツ
1982:マルコ・タルデッリ/イタリア 3-1 西ドイツ
1978:マリオ・ケンペス/アルゼンチン 3(延長)1 オランダ
1974:ゲルト・ミュラー/西ドイツ 2-1 オランダ
1970:ジェルソン/ブラジル 4-1 イタリア
1966:ジェフ・ハースト/イングランド 3(延長)1 西ドイツ
1962:ジト/ブラジル 3-1 チェコスロバキア
1958:ペレ/ブラジル 5-2 スウェーデン
1954:ヘルムート・ラーン/西ドイツ 3-2 ハンガリー
1950:アルシデス・ギジャ/ウルグアイ 2-1 ブラジル
1938:ジーノ・コラウッシ/イタリア 4-2 ハンガリー
1934:アンジェロ・スキアビオ/イタリア 2(延長)1 チェコスロバキア
1930:サントス・イリアルテ/ウルグアイ 4-2 アルゼンチン
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