「10 HONDA」のユニホームを着る中国人ファンは少なくない。中国資本によるミラン買収が決まれば、本田はアジア戦略の中心に?

2016年06月02日 弓削高志

言いたい放題のベルルスコーニ。「ブロッキ監督の留任は決めてない」「メクセスとアレックス、ボアテングは放出する。バロテッリもだ」

本田の去就は不透明。4月にはプレミアリーグのクラブが関心を持っていると報じられた。(C)Getty Images

 ミランの身売り交渉について、オーナーであるシルビオ・ベルルスコーニ名誉会長の発言が、現地イタリアのメディアを連日賑わせている。
 
 もし、身売りが現実のものとなれば、ミランのチーム構想に一大変革が起こるのは必至。本田圭佑の今夏以降の去就にも大きな影響を及ぼすのは間違いない。
 
 クラブの過半数株譲渡の交渉相手は、米国のコンサルタント企業を介した中国資本だ。実際の出資者の詳細は現在に至るまで秘密のベールに包まれているが、独占交渉権を得ている彼らは、すでにミランの株式を保有するフィニンベスト社と、譲渡の細かな条件や法令のチェックなど、複雑な打合せを進めている。
 
 潤沢な資金を持つ中国側にしてみれば、3年連続でチャンピオンズ・リーグ出場権を逃したチームへのテコ入れは当然だろう。
 
 5月29日付の伊紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長によるズラタン・イブラヒモビッチ(今夏のパリSG退団が決定)獲得交渉を報じる傍ら、「大所帯の攻撃陣へリストラを進める必要あり」とし、とりわけ「ルイス・アドリアーノとバッカ、本田とエムバイ・ニアングの4人については、来シーズンもミランでプレーするかは不確かだ」と論じた。
 
 この4人は、低迷した15-16シーズンのミランにあって、なお国外クラブからある程度の市場評価を得ているとされる。『コリエレ・デッロ・スポルト』紙は、5月31日付紙面で「ウェストハムがバッカ獲得へ2000万ユーロのオファー」と報じた。
 
 17年6月で現行契約が切れる本田については、イタリアの移籍情報サイト『Calciomercato.com』が、4月中旬の段階で契約延長交渉について報道。「ミラン側は現行の250万ユーロから200万ユーロ以下への年俸減額見直しを求めているが、本田の代理人は拒否」と状況を示し、「トッテナムやウェストハムなど、資金力に秀でるプレミアリーグのクラブが、夏の市場でも本田を標的とするだろう」と伝えていた。
 
 5月21日のコッパ・イタリア決勝戦後、ベルルスコーニは政治活動に勤しむ傍ら、ミラン売却の意志をあらためて強調。25日の国営放送『RAI』の政治討論番組「ポルタ・ア・ポルタ」に出演した彼は「欧州や世界の檜舞台でミランを再び主役の座に引き上げてくれる方々にクラブを譲るべきだと考えている。今、資金をもたらしてくれるのは中国か産油国しかない」と述べた。

次ページ中国資本グループの独占交渉権が切れる6月15日が、身売り交渉の大きな山場に。

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