3-4-2-1で多様性を増す森保ジャパンのウイングバックと2シャドー。いろんな選手、いろんな組み合わせ

2024年10月11日 河治良幸

5バックで構える時間帯が多くなった

左ウイングバックで先発した三笘は、後半途中からシャドーでプレー。前田との連係で新たな可能性を示した。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 日本代表は現地10月10日、アウェーでサウジアラビアと対戦し、前半に鎌田大地、終盤に小川航基が挙げた得点により、2-0の勝利を飾った。

 ジッダでの"完全アウェー"で初めて勝利した日本。森保一監督も「得点が逆になっていてもおかしくないくらいサウジアラビアは力がある」と振り返るように、対戦相手にリスペクトを表しながら、厳しい戦いになることは想定して選手たちにも働きかけていたようだ。

 内容面で確かに苦しい時間帯、危ないシーンはあったが、1-0のリードを維持して試合を進め、セットプレーから途中出場の小川がゴール、キッカーを担った伊東純也がアシストという形で突き放す試合展開は、過去の最終予選でも、なかなか日本が見せられなかったゲーム運びであったことは間違いない。

 そして森保監督の選手起用も、新たなメインシステムとなりつつある3-4-2-1の安定性を強め、幅を広げる意味で注目に値する。

 ポイントになったのはウイングバックとシャドーでの選手の使い分けだ。左右のウイングバックに三笘薫と堂安律という攻撃的なキャラクターの二人を張らせて、2シャドーは鎌田大地と南野拓実を並べるのは、9月シリーズの2試合目だったアウェーのバーレーン戦と同じ。

 ただし、予想された3バックではなく4-3-3で入ってきたサウジアラビアに対して、両方想定していたという日本は4-4-2気味に可変して前からハメる形を取りながら、バーレーン戦よりも5バックで構える時間帯が多くなった。

 特にアンカーのアブドゥレラー・アルマルキに誰がプレッシャーをかけるかは難しい判断であり、相手のキーマンである左サイドのサレム・アル・ドサリに良い形でボールを持たれるシーンが目立つなかで、堂安もサイドバック的な役割の比重が重くなっていた。
 
 一方で三笘も反対側のスペースを埋めるために、攻撃における両翼のゴールとの距離が遠くなってしまったことも確かだ。そのなかでも1点目のシーンはうまく押し上げながら、右の堂安からのサイドチェンジを左の三笘が折り返し、ボランチからタイミング良く飛び込んだ守田英正が落としたボールをシャドーの鎌田が押し込むという美しい形でリードを奪った。

 ただ、厳しい守備の中で右シャドーの南野がイエローをもらい、ジャッジ次第ではあわや退場というシーンもあった。森保監督は後半スタートから伊東を右ウイングバックに投入。ただし、堂安とのチェンジではなく、南野の代わりに堂安に右シャドーを担わせる形で、配置転換を施したのだ。

 伊東も攻撃的な特長を持つ選手だが、この試合では守備で最初はサレム・アル・ドサリ、サウジアラビアが3-5-2にシステムチェンジしてからはインサイドハーフから左ウイングバックに回ったナセル・アルドサリを厳しくチェックすることで、相手の左からの攻撃力を大きく失わせた。

 一方で左サイドは63分までウイングバックが三笘、左シャドーを鎌田という構図を変えなかったが、相手がシステムチェンジしてきた2分後に、森保監督は鎌田に代えて前田大然を投入。右と同じように、三笘をシャドーに上げて、前田が左ウイングバックに。守備の強度をキープさせながら、攻撃面でも二人の特長を引き出そうとした。

 現地の暑さに加えて、ピッチから風が抜けないスタジアムの構造で、ダイナミックな攻撃を繰り出すのは難しかったが、森保ジャパンでも随一のスピードを誇る前田を三笘の外側に置くことで、前田が三笘を内側に追い越してゴール前に飛び出すなど、伊東と堂安の右サイドともまた違った攻撃の可能性が見られた。

【画像】日本代表のサウジアラビア戦出場16選手&監督の採点・寸評を一挙紹介。2選手に7点の高評価。MOMは攻守に躍動したMF

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