【藤田俊哉の目】自動昇格枠がひとつだけのオランダ。プレーオフの厳しい現実を突きつけられた

2016年06月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

レギュラーシーズン2戦2勝の相手に敗れ、VVVの1部昇格はならず…。

VVVフェンロのコーチとしてオランダ・エールディビジの昇格プレーオフを戦った藤田俊哉氏。惜しくも準決勝でリーグ5位のチームに敗れた。(C) Getty Images

 オランダ2部リーグ・VVVフェンロのコーチとしてヨーロッパでの指導者人生をスタートさせている元日本代表MFの藤田俊哉さん。現地で日々感じたことを、月1回のペースでお届けします。今回は、2015-16シーズンで2部・2位となり、VVVも参戦したエールディビジの昇格プレーオフについて。
 
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"マドリード・ダービー"となったチャンピオンズ・リーグ決勝。PK戦の末、レアル・マドリーがアトレティコ・マドリーを下し、2年ぶり11度目の優勝を果たした。ディエゴ・シメオネ監督の悔しさも相当なはずだ。
 
 2年前と同じ相手に敗れ、欧州チャンピオンのチャンスを逃したのだから、彼にとってレアル・マドリーは因縁の相手と言えるだろう。
 
 ちょうど2週間前、僕がコーチをしているVVVフェンロも同じような経験を味わった。
 
 オランダ2部リーグの昇格プレーオフ準決勝で、VVVはゴーアヘッド・イーグルスと対戦。2試合合計2-3で敗れ、1部昇格を逃したのだが、このチームとは2012-13シーズンのプレーオフで顔を合わせ、2連敗して2部リーグへ降格させられた相手でもあったのだ。
 
 当時、僕はVVVのコーチにまだ就任していないから、彼らに対する苦手意識はない。冷静に考えても、今季のプレーオフも十分にチャンスはあると踏んでいた。
 
 実際、レギュラーシーズンで僕たちはゴーアヘッド・イーグルスに対して2戦2勝。ホームで2-1、アウェーで3-0と勝利している。リーグ戦の最終順位を見ても、VVVは2位で、ゴーアヘッド・イーグルスは5位。勝点こそ伸び悩んだものの、シーズンを通して最多得点、最少失点を誇った。
 
 さらには、VVVには36試合で28ゴールを奪ってリーグ得点王になったラルフ・セントインスもいる。下馬評ではおそらくVVVの勝ち上がりを予想する人間は多かったはずだ。
 
 しかし、プレーオフでの結果は異なった。第1戦のアウェーでは終了間際のPKで0-1の敗戦。ホームの第2戦では2-2のドローに。2試合とも先制点を許し、頼みのラルフ・セントインスも1ゴール止まり。
 
 皮肉なことに、ゴーアヘッド・イーグルスのスコアラーは、レオン・デ・コヘル、ランディ・ウォルテルスと、かつてVVVでプレーしていた選手だった。流れも勢いも、相手にあったと言わざるをえない。
 
 結局、ゴーアヘッド・イーグルスは僕たちVVVに勝利した勢いそのままに、1部リーグ17位、デ・フラーフスハップとのファイナル・ラウンドも突破したのだった(第1戦=4-1、第2戦=1-1)。
 

次ページチームの強さを問うのが目的なら、リーグ戦の順位で争うべきだと思うが……。

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