「距離を詰めて潰せ!」敵将が怒鳴るほど強豪ドルトムントの脅威となった前田大然。翻弄されたブラジル代表DFには酷評「不安定さを露呈」【現地発コラム】

2024年10月06日 中野吉之伴

「これが僕たちの実力だということ」

ドルトムント戦で一矢を報いるゴールを決めた前田。(C)Getty Images

 チャンピオンズリーグ(CL)のリーグフェーズ第2節で、昨季準優勝のドルトムントのホームに乗り込んだセルティックは、序盤から失点を重ねて1-7の大敗を喫した。

 この試合で、左ウイングとしてフル出場した前田大然は、試合後のミックスゾーンで落ち着いた様子で、「まあこれが僕たちの実力だということ」と言葉を残している。

 7分にPKで先制点を奪われた後、流れを取り戻すきっかけはあった。8万人強が集うジグナル・イドゥナ・パルクのドルトムントファンを最初の熱狂から覚ます同点ゴールを決めたのが前田だった。9分、右サイドからのクロスにスルスルとタイミングよく飛び込むと、対応を怠ったドルトムント守備陣の隙をつきゴールを決めた。

「(相手DFが)ボールウォッチャーになっていたんで。うまく入ればチャンスあるかなって。手に当たったぽかったですけど、ちゃんと(脇を)閉じてる印象があったんで。身体に当たったっていうことだと思ってます」
【動画】前田大然が昨季準優勝のドルトムントから決めたCL2戦連発弾
 このゴールで「可能性はあるんじゃないか?」という雰囲気がセルティックサイドに生まれていたし、プレスにも鋭さが感じられただけに、その2分後に勝ち越しゴールを許したのが痛かった。

 GKからのロビングボールをドルトムントCFセルーギラシが巧みなポストプレーでユリアン・ブランドへパス。一気にカウンターへ持ち込み、スルーパスで抜け出したカリム・アディエミが左足でゴールネットを揺らした。

「そうですね。それが一番ダメージが大きいというか。いけるって思ったときに、そういうのがあったんで。まあでも、やっぱり(相手は)格上なので。 さすがやなって思いました」

 ここからさらに畳み込んだドルトムントは前半だけで5得点。一気に試合を決めてしまった。

 CLで7―1の大勝となれば、メディアからはおおむね好評価されるのが一般的だ。セルティック戦後も、『ビルト』紙には、ドルトムントの選手に対して称賛の言葉が並んでいた。だが、右SBでスタメン出場したブラジル代表のヤン・コウトに関しては「まだ順応するのに時間が必要のようだ。何度か不安定さを露呈。まだ完全にドルトムントに到着しているとはいえない」という厳しい寸評が添えられていた。

 その不安定さの要因となっていたのが、対面の前田だ。特に前半はドルトムントの勢いに完全に飲まれていたセルティック勢の中で唯一ボールを収めて、ドリブルで運ぶプレーができていた。ボールを受けるとコウトとの1対1を積極的に勝負を仕掛け、スピードあるドリブルで何度も突破した。
 

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