すでにドルトムントが獲得失敗。「ネクスト・ネイマール」の争奪戦が熱を帯びる

2016年05月27日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2500万ユーロでは話すら聞いてもらえないだろう。

欧州のクラブが注視する逸材ガブリエウ。サントスは5000万ユーロの違約金を設定するが、財政が苦しく3000~4000万ユーロでも交渉の余地はあるか。(C)Getty Images

 ブラジル人の超絶アタッカーで、持ち味はシザーズフェイント、ノールックパス、股抜き、ヒールキック、オーバーヘッドキック、シャペウ(ボールを浮かせて相手の頭上を抜くプレー)、そしてゴールー―。「ネイマールのことだろう」と誰もが思うだろうが、答はノーだ。
 
 正解はガブリエウ・バルボーサ。よりシンプルな「ガビゴール(ガブリエウとゴールを合わせた造語)」の愛称で親しまれる。ネイマールと同じくサントスの下部組織で育成され、弱冠16歳でトップチームに昇格してからもこれまで144試合で51得点を挙げている左利きのビッグタレント。「ネクスト・ネイマール」になるとまではまだ断言できないが、近いところまでいく可能性は十分だ。
 
 この1996年生まれの19歳には、ヨーロッパから熱視線が注がれ始めている。すでに熾烈な争奪戦を制してレンヌから逸材ウスマンヌ・デンベレを獲得するなど、若いタレントの発掘に積極的なドルトムントは、いち早くサントスに2500万ユーロ(約31億円)という高額オファーを送った。しかし、返ってきたのは丁重な断りの返事だった。
 
 レアル・マドリーやフィオレンティーナなども調査しているが、はたしていつ具体的な動きに出るか。いずれにしても、2500万ユーロを上回るオファーを用意しなければ、話を聞いてすらもらえないだろう。
 
 今夏はA代表の一員としてコパ・アメリカ・センテナリオに参戦し、U-23代表としてリオデジャネイロ五輪にも出場するかもしれない。この2つの大舞台で活躍すれば、争奪戦はさらに激化し、値札はさらに上がるだろう。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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