【日本代表】ハリルが“大久保復帰”を仄めかす。大島の初招集はその布石か?

2016年05月26日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「最終予選は分かりませんよ。大久保が必要となれば呼びます」

今回も選から漏れた大久保。しかし、ハリルホジッチ監督はこの国内屈指のストライカーに興味がないわけではなく、招集については「躊躇している」とコメント。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表のメンバー発表があるたびに、話題に上がる渦中の点取り屋について、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督ここまで言及したのは、これが初めてではないだろうか。
 
"なぜ大久保嘉人は招集されないのか"
 
 Jリーグ3年連続得点王であり、今季もコンスタントにゴールを重ねている日本屈指のストライカーを求める声は常に聞かれてきた。
 
「もう少し若ければ……」
 
 ハリルホジッチ監督が大久保を招集しない理由のひとつは、33歳という年齢にあった。それが常套句だった。
 
 しかし、5月26日のキリンカップ・メンバーの発表会見の場で、「大久保は日本一のゴールゲッター。いつ招集されるのか」と質問されると、指揮官は"饒舌"に語り始めた。
 
「彼は本当に稀なゴールゲッターです。ただ、A代表で多くの結果を出していないのはなぜかという疑問もあります。彼にはある特長があります。16メートルの中でしか、(プレーが)見られない。A代表では組み立てにも参加しなければならないし、ディフェンスにも戻ってくれないといけない」
 
 ハリルホジッチ監督は、大久保の能力は認めている。それは間違いない。「(試合で)大久保の動き"だけ"を見た時もあります」と、常に興味を注ぐ対象ではある。ただ、A代表で彼のプレースタイルがフィットするのかを熟考すれば、招集に二の足を踏んでしまうという。
 
「つまり、まだ私は躊躇している段階です」
 
 大久保は20歳そこらの若手ではない。十分に実績のあるベテランであり、その存在感、チームに与える影響力は絶大と言っても過言ではない。
 
「彼をA代表に入れて、大久保のチームを作る、それから彼にいろいろと覚えてもらう。これは33、34歳の選手にとってはかなり難しい作業です」という意味で、「もう少し若ければ……」ということだ。
 
 とはいえ、大久保招集の可能性がまったくないわけではない。ハリルホジッチ監督はきっぱりと明言した。
 
「しかし、最終予選は分かりませんよ。大久保が必要となれば呼びます」
 
 招集するとすれば、国内の試合だという。「もしかしたら、10分間だけで得点をするかもしれない」と、その起用法のイメージもできているようだ。
 
 今回、同じ川崎のチームメイトである大島僚太が初招集された。大島に計算が立てば、普段からともにプレーしている大久保がA代表でもより力を発揮できるシチュエーションとなり、招集の可能性はさらに高まるかもしれない。
 
「大久保に関してみなさんが考えることは、ノーマルだと思います」
 
 新たな局面を迎えたハリルジャパン。そこに大久保の姿が見られる日は来るのか――。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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