「我慢して一歩踏めたら、たぶん届いた」横浜FCのGK市川暉記は一切の妥協を許さず。イレギュラーな失点も「止めてあげないと。もっとこだわるべき」

2024年09月12日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

最悪を想定。「良い意味で、ディフェンスを信じ切らない」

横浜FCのゴールマウスを守る市川。30節時点でチーム唯一の全試合フルタイム出場を果たす。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 30節を終えて総失点18? リーグ最少の数字? 際立つデータにも満足しない男がいる。J2で首位に立つ横浜FCでここまで唯一、全試合フルタイム出場しているGK市川暉記だ。

「僕的には、もうちょっと失点を減らせるなっていうシーンは全然あります」

 たとえば、直近の30節・愛媛戦(4-1)で20分に奪われた先制点だ。

 右サイドからの前野貴徳のアーリークロスに反応した谷本駿介に、ボックス内右で折り返され、ファーから走り込んだパク・ゴヌに押し込まれた。

 パク・ゴヌには味方の村田透馬がしっかりと身体を寄せていたが、もつれ合いながらもパク・ゴヌが伸ばした左足に当たったボールがゴールに吸い込まれる。市川の懸命なセービングも及ばなかった。

 至近距離で放たれた難しいシュートだった。ボールの軌道も読みにくい。GKにとってはある意味"ノーチャンス"と言えるかもしれない。だが、市川は「イレギュラーな形でしたけど」としながらも、「あれをやっぱり止めてあげないと。もっとこだわるべきだと、ずっと思っています」という。

「予想外のタイミングで来て、身体がひとつ浮いたんです。そこを浮かせないで、そのままずっと我慢した状態で一歩踏めていたら、たぶん届いたのかな、と。下から浮いた時間を、そのまま横の移動に使えば、届いていたんだろうなっていうのはありますね。あれを止めるとしたら、それかなという感じです」
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 どうやって止めればよかったか。一つひとつの失点を微細に振り返り、可能性を模索して、改善していく。地道な作業の繰り返しだ。そのうえで、市川は常に「最悪を想定」しているという。

「どこまで最悪を考えるか。良い意味で、ディフェンスを信じ切らないというか。もちろん、信用はしていますけど、対応しているからそれで安心するのではなくて、何かあるかもしれないと」

 また愛媛戦では、少なくとも2つのビッグセーブがあった。39分、味方のパスミスから窪田稜に決定的なシュートを打たれるが、横っ飛びで弾き出す。「相手の足がもつれていて、ファーに強いのはこない。正面付近に立っていれば届く」と準備していた。

 68分にはパク・ゴヌと1対1になったが、鋭いシュートを右足で止めた。「まずニアを消して、前に寄せられたのでシュートコース的に足を開けば届くと思った」という。

 ゴール前の攻防。ほんのわずかな時間であらゆる情報を集め、瞬時に最適解を弾き出して実行に移す。横浜FCの最後尾で絶大な存在感を示す25歳守護神が、リーグ随一の堅守を支えている。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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