戴冠逃すも本田は及第点。ただし、『コリエレ』紙記者は、ミラン離脱の可能性にも言及

2016年05月22日 弓削高志

「EL出場を逃したことで、本田が残るかどうかはまったくの未知数」とフェデーレ記者。

守備の貢献度は高かったが、攻撃では決定的な仕事ができず。評価も総じて及第点止まりだった。(C)Getty Images

 延長戦の末に、0-1で惜敗したコッパ・イタリア決勝戦の翌日、イタリア各紙は概ね本田へ及第点を出した。
 
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙と『コリエレ・デッロ・スポルト』紙は、先発フル出場した本田へともに採点「6」を与えている。
 
 前者は「(マークした)MFポグバをしばしば追いつめ、DFたちと同じラインまで下がることも強いられながら、前半は悪くない出来だった。しかし、(後半以降)距離を経ることに道のりは険しくなった。ほぼ3回に1度、28回もボールロストしたのはいただけなかった」。
 
 後者は「チームのために多大な犠牲を払った。だが、ゴール前では閃きを失った。前半に2度あった決定機を生かせず」と寸評を添えた。
 
「スピードあるスタートダッシュはできても、右足でなにをすればいいのか分からない。ただし、チームへ献身した」と評した有力一般紙『レプブリカ』も、及第点「6」を出している。
 
 一方で、本田の今季最終盤を含めた評価を下したのが、優勝したユベントスのお膝元トリノの『トゥット・スポルト』紙だ。
 
「ミハイロビッチの忠実な兵士だった本田は、ブロッキ体制発足後の2試合で不遇を囲った。しかし、充実した戦力という選択肢のないチーム状況にあって、早々にポジションを回復した。(ゴールに絡む)決定的な仕事をなにひとつできなかったことが残念だ」と辛口の内容で、採点も「5.5」に。
 
 チームが勝てなければ、前線の選手は及第点止まり。結果を重視する伝統国の厳しい掟だ。
 
『コリエレ』紙のミラン番記者フリオ・フェデーレは、試合後に苦々しい顔を浮かべた。
 
「ミランと本田の今季はネガティブなものだったと言わざるをえない。タイトルをかけたシーズン最後の試合にも敗れたのだ」と振り返り、「タイトル獲得失敗とEL出場を逃したことで、彼が来季以降ミランへ残るかどうかはまったくの未知数になった」と、移籍市場でのミラン離脱の可能性にも触れた。
 
 120分間に及んだシーズンのラストゲームで、本田が見せたパフォーマンスは、決して悪くなかった。だからこそ、結果に直接つながるプレーさえあれば、番記者たちの心象も大きく異なっていたはず。最後まで決定力を欠いたことが、現地の本田評に対する足枷となったことは否定できない。
 
文:弓削高史(フリーライター)
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