【識者の見解】ヘグモ解任→スコルジャ再任の是非。大きな混乱にならないと想定。目立った変化があるとすれば選手起用だ

2024年08月27日 河治良幸

川崎戦の後半を観られなかったのは残念だが...

浦和がヘグモ監督との契約を解除。昨季に指揮を執っていたスコルジャ監督(写真)を再び招聘した。(C)SOCCER DIGEST

 浦和レッズは8月27日、ペア・マティアス・ヘグモ監督の契約を解除し、昨シーズン率いたポーランド人のマチェイ・スコルジャ氏を再び迎えることをリリースした。今週末に国立で行なわれる町田戦は、池田伸康コーチが暫定監督として指揮を取る。

 開幕戦から半年以上、ヘグモ監督のチームを取材してきた筆者の率直な感想を言わせてもらうなら、この時期の解任は驚きだが、来シーズンの指揮を任せるかどうかの基準で言えば、この判断は妥当とも言える。なぜならば、現在の浦和がヘグモ監督の目ざすスタイルから、少しかけ離れたチームになっていたからだ。

 ここまでの成績はともかく、ハーフタイムで中止になった川崎戦(28節)の前半を見ても、勝点3を狙えるサッカーになってきたことは明らかだった。2ボランチをベースにした守備、相手のプレスを外しながら、中盤から前の流動性を活かした攻撃。悪天候により、後半を観られなかったことが残念に思えたほどだ。

 ただ、冷静に分析すると、沖縄キャンプからヘグモ監督が構築しようとしていたスタイルとは、似ても似つかぬものになっていたことも事実だ。

 左右にウイングを置く4-3-3をベースに、各ポジションの立ち位置を明確にしながら「ドミネートする」という言葉通り、高い位置で攻守に相手を押し込んでいくというのが、ヘグモ監督の理想とするサッカーだ。
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 もちろん、対戦相手を見ながら多少、ポジションの流動性や可変することはヘグモ監督も許容していたはず。しかし、Jリーグで結果を安定させるために4-2-3-1に変更し、ウイングにもサイドハーフ的なタスクを求めるようになるなど、軌道修正を重ねてきた結果が現在の姿だ。

 堀之内聖スポーツダイレクターは「総評としては、やはり始動時に描いた成長曲線に対し、現時点でのチームの完成度は後れを取っていると言わざるを得ません」とコメントしているが、ヘグモ監督が当初から目ざしていたチームから、ここまで変わってしまうと、成長曲線を描きにくいのは確かだ。

 ただ、そもそもリカルド・ロドリゲス、スコルジャと引き継いできたサッカーから、ヘグモ監督の思い描くスタイルに大きな違いがあった時点で、招聘したフロントにも責任はあるだろう。

 そうした状況で、おそらく代表ウィーク明けからスコルジャ監督が率いることになるが、大きな混乱にはならないと想定できる。4-2-3-1をそのまま引き継ぐことができるうえに、サイドハーフやボランチに求める戦術的な役割も、昨年に近づいているためだ。

 戦力を見ると、夏の移籍で酒井宏樹、アレクサンダー・ショルツ、岩尾憲、伊藤敦樹など、昨年の中心的な選手はいなくなったが、代わる戦力はそれなりに揃っている。
 

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