【ACL浦和1-0 FCソウル】元韓国代表&J最強FWチェ・ヨンス監督は「必ず逆転する」。現役時代を彷彿させる冷徹な表情に潜む自信

2016年05月19日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

決定機数はFCソウルが浦和を上回る。元広島の高萩洋次郎も布陣変更後に機能。

指導者としてすでに何度も来日しているが、浦和と公式戦で対戦したのは初。チェ・ヨンス監督は「必ず逆転する」と誓った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦ファーストレグで埼玉スタジアムに乗り込んだFCソウルは、浦和に0-1で敗れた。FCソウルを率いるのが、元市原(現・千葉)、京都、磐田でプレーしたチェ・ヨンス監督だ。
 
市原では01年から03年までの3シーズンでリーグ通算73試合・54得点とゴールを量産。チームを03年のステージ優勝目前(第1ステージ3位、第2ステージ2位)まで引っ張った、高原直泰(磐田)やエメルソン(浦和)とともに当時のJリーグを牽引した"最強ストライカー"のひとりだ。
 
 今回は苦杯を舐めたものの、後半は韓国代表FWパク・チュヨンを投入して、元広島の高萩洋次郎を右サイドに配置する采配が奏功し、浦和を上回るチャンスを作った。それだけに、5月25日のソウルで行なわれるセカンドレグに向けて、確かな手応えを得ていた。
 
 試合後の記者会見で、指揮官は次のように試合を振り返った。
 
「残念な結果だ。このアウェーでの一戦に向けてしっかり準備をしてきた。しかし、もっと強くプレッシャーに行きたかったが、上手く行かず、少しプレーに焦りが見られた。しっかり守備をして、逆転を狙ったが、ゴールを奪い切れなかった」
 
 Kリーグ最強2トップと言われるアドリアーノとデヤン・ダムヤノヴィッチが前半は単発の攻撃しか繰り出せず、ハーフタイムにダムヤノヴィッチを諦めてパク・チュヨンに交代。ただ、決してネガティブな交代策ではなかったと強調していた。
 
「エースであるデヤンには期待していたが、今日は少し物足りなかった。ただ、パク・チュヨンが最近とても調子が良かったので、彼を投入してオスマールと中盤の真ん中を組ませ、高萩を右サイドに置いた。
 
 高萩は右サイドでプレーすると最近持ち味を発揮できていて、今日もチャンスを作ってくれた」
 
 前線が流動的に動き出し、エンジンの温まった今大会すでに10ゴールを奪っているアドリアーノが高速カウンターを繰り出す。高萩も槙野との駆け引きを楽しむかのように、何度かクロスやパスから好機を作った。
 
 決定機数では、FCソウルが5対3と浦和を上回っただけに、手応えも得られた。「(5月25日の第2戦は)ホームで、必ず逆転する」と、アジアの虎は現役時代と変わらず、心のうちを周りに読まれぬように一度も表情を崩さず冷徹に誓った。
 
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
 
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