【リーガ現地コラム】まさにスアレスのためのシーズン。指揮官がその働きでもっとも評価した点とは?

2016年05月18日 豊福晋

指揮官にとって、もっとも重要な選手だった。

40得点・19アシストはいずれもリーガ最多で、ディフェンス面での貢献も際立ったスアレス。バルサ優勝の原動力と呼ぶに相応しい大車輪の活躍だった。(C)Getty Images

 バルセロナがグラナダを下し、リーガ・エスパニョーラ優勝を決めた翌日、スペインメディアはこぞってルイス・スアレスを絶賛した。

 この試合でスアレスは3ゴールをマーク。今シーズンの得点数を40に伸ばし、ピチーチ(リーガ得点王)とゴールデンブーツ(欧州得点王)をダブルで獲得した。

「僕のキャリアのなかで一番特別なハットトリックだった」と、試合後にスアレスは誇らしげに語った。同日に勝利したレアル・マドリーとの勝点差は1。つまり彼の活躍がなければ、バルサの優勝はなかったわけだ。

 クリスチアーノ・ロナウドやリオネル・メッシとは違い、スアレスはバルサでPKキッカーを務めているわけではない。にもかかわらず40ゴール。凄さが窺い知れる。

 スアレスはなにも、ゴールだけで貢献したわけではない。

 記録したアシストの数は19。こちらもリーガ最多だ。

 守備面での貢献も素晴らしかった。おそらくルイス・エンリケ監督は、この部分をもっとも評価していたはずだ。

 事実、彼は前線からのプレッシングにおいて欠かせないピースだった。

 メッシとネイマールはディフェンス時の働きが限定的だ。それに対してスアレスは、相手CBがボールを持った際に、最初にプレッシングをかけるという重大な任務を任されている。しかもそのタスクを忠実にこなす。ピッチに攻撃的なキャラクターの選手ばかりを並べるバルサは、スアレスのプレスがなければ、破綻していても不思議はなかった。

 印象的だったのは、L・エンリケ監督がエイバル戦(リーガ28節)後に語った言葉だ。

「ルイス(スアレス)がピッチの上でチームにもたらしてくれるものは、何にも代えがたい。しかも彼は、ゴールまで決めてくれる。本当に頭が下がるよ。無得点で終わりそうな試合でも、交代させられない」

 L・エンリケ率いるバルサにとって、スアレスは単なる点取り屋ではない。それを超越したところに彼の本当の価値があるのだ。

 ゴールを決め、チームメイトにアシストし、守備のキーマンとして躍動。3つの役割を100パーセントこなしたスアレスは、指揮官にとってもっとも重要な選手だったのではないか。

次ページバルサきってのスターを脇役に見せるほどの輝き。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事