パリ五輪でアメリカに勝たなければいけなかった理由。なでしこジャパンはある意味限界を露呈した【コラム】

2024年08月05日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

最後は個に屈した

失点に絡んだものの、北川を責めるファン・サポーターはいないだろう。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 これこそ痛恨の敗戦である。パリ五輪の準々決勝で、なでしこジャパンがアメリカと死闘を演じる姿を見て感動した方もいるだろうが、結果は0-1。「ここまで戦って勝てないのか」という無力感に支配されたファン・サポーターも少なくないはずだ。

 舞台はオリンピック、土曜日の日本時間22時キックオフ、地上波放送。普段スポットが当たりにくい「女子サッカー」に興味を持ってもらううえで、これ以上ない条件が揃っていた。そうした状況下でアメリカに勝てば、女子サッカーへのより強い関心を集めることができたはずだった(人気定着するかはさて置き)。

 その意味でも極めて重要な一戦だったが、あと一歩及ばなかった。試合を振り返ると、なでしこジャパンの戦い方はほぼ完璧だった。格上のアメリカに対し、5-4-1システムで引き気味に守り、ボランチコンビの長谷川唯と長野風花を中心にスペースを与えず、奪ったボールをカウンターに繋げる。そうしたサッカーを実直にこなしてアメリカの焦りを誘っているように映ったのだから、戦略としては明らかに正解だった。

 日本が勝つなら、こういう戦い方。その展開にまんまと持ち込み、少なからずチャンスもあった。だから、勝たなければいけない試合だったのである。より多くの方になでしこジャパンの魅力を知ってもらう意味でも…。

 失点の場面をクローズアップすれば、アメリカのトリニティ・ロッドマン(NBAのスター選手だったデニス・ロッドマンの娘)に対峙した北川ひかるはかわされ、その後、角度の狭いコースからGK山下杏也加はロッドマンに強烈な一撃を叩き込まれている。
 
 ガーナとの強化試合で負傷した影響もありそうだった北川は満身創痍だったはずだ。ただ、パリ五輪の過密日程をこなしているのは相手も同じ。アメリカ戦に限れば、最後は個の力に屈した印象である。決定機をモノにできなかった部分も含め、なでしこジャパンは今大会でクオリティ不足を露呈したと言えるだろう。

 ある意味、なでしこジャパンは限界を露呈した。あれで勝てなければ、どうしようもない。アメリカ戦後に湧き出てきた感情はそれだった。

 なでしこジャパンのコアなファンは「よくやった」とそういう感情もあるだろう。だが一方で、ライト層を取り込むならアメリカ戦は勝たなければいけなかったと、そんな見方もできる。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)


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