【ブンデス現地コラム】アンケートでは64%が「失敗」と回答。それでもグアルディオラの残した功績は称えられるべきだ

2016年05月13日

「本当に、本当に、本当に強かった」とライバルの戦いぶりを賞賛。

2015-16シーズン限りでの退任が決まっているグアルディオラ監督。目標に掲げた三冠には惜しくも手が届かなかった。(C)Getty Images

 今シーズンのブンデスリーガを制したのは、バイエルンだった。33節にインゴルシュタットを2-1で下し、通算26度目の優勝、史上初となる4連覇を達成した。開幕前は「優勝して当然」という声もあったが、今回の戴冠は決して簡単ではなかったはずだ。

 なにしろ、リーグタイトルを争ったドルトムントが手強かった。最後まで質の高いパフォーマンスを維持し、ジュゼップ・グアルディオラ監督も「本当に、本当に、本当に強かった」とライバルの戦いぶりを賞賛。3~4月にマイスターシャーレの行方が決まっていたここ数年とは違って、優勝争いは終盤までもつれた。それだけ苦しんだだけに、この勝利の味も格別だったようだ。

「ブンデスリーガ4連覇!! なんて偉業だ!!」(ロベルト・レバンドフスキ)
「僕らは歴史に名を刻んだ」(ハビ・マルティネス)
「このタイトルは特別だ」(フィリップ・ラーム)
「これ以上ない気分」(チアゴ・アルカンタラ)

 と選手は喜びを爆発させ、カール=ハインツ・ルムメニゲ代表取締役社長も「歴史的な快挙。監督と選手たちには賛辞の言葉を送るしかない」とその功績を称えた。

 前半戦のバイエルンはとにかく圧倒的だった。大きかったのは、新戦力のドグラス・コスタとキングスレー・コマンの存在だ。驚異的な局面打開力とスピードを武器にする2人のウインガーは即座にフィット。スピーディーな展開から敵ゴールを陥れるサイド攻撃が猛威を振るい、その恩恵を受けたレバンドフスキとトーマス・ミュラーがゴールを量産した。

 8節の2位ドルトムントとの天王山では5-1で大勝し、その後も危なげなく勝点を積み上げていった。「今年もバイエルンか」と他チームのファンからため息が漏れるなか、15節のボルシアMG戦で1-3で初黒星を喫する。3バックで守備を固める相手に自慢のサイドアタックが機能せず、守っても鋭利なカウンターから3失点を許した。このボルシアMGの戦術を他チームも採り入れるようになり、以降は常に大勝というわけにはいかなくなった。

 後半戦に入ると、ジェロ―ム・ボアテング、ハビ・マルティネス、ホルガー・バドシュトゥバーとCBに故障者が続出した。しかし、CBにコンバートされたダビド・アラバとヨシュア・キンミッヒがその穴を見事に埋め、首位キープに貢献。「彼らは苦しい時期に素晴らしいプレーを見せて、チームを助けてくれた」とグアルディオラ監督もその働きぶりを称えている。

 ターニングポイントとなったのは、25節のドルトムント戦。勝点5差で迎えたこの大一番をスコアレスドローで乗り切れたのは、大きかった。もし敗れていたら、優勝争いはさらに混沌としていたはずだ。

次ページドイツの指導者のレベルをひと回りもふた回りも引き上げた。

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