金田喜稔がガーナ戦を斬る!「現状のままではFWの力不足は拭えない。メダルを狙うならオーバーエイジを活用すべきだ」

2016年05月12日 サッカーダイジェスト編集部

成長の跡が見られたが、ガーナは“仮想・ナイジェリア”ではなかった。

2得点した矢島(10番)など、個々の成長ぶりは目を見張る。チーム全体にも確かな自信が芽生えているが、相手の実力を考えるとこの試合の出来は手放しでは喜べない。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 3-0というスコアからも分かるように、攻守とも日本の完勝だった。メンバー入りへの当落線上にいる選手たちにとっては、"サバイバル"となるだけに、選手個々のプレーからは「なんとしてもメンバーに入ってやるんだ」という熱い気持ちは十分に伝わってきた。
 
 そんななかでも、自分勝手なプレーをするのではなく、あくまでチームの一員としての役割を見失わず、誰ひとりとしてハードワークを欠かさなかった姿勢は素晴らしかった。
 
 それと、このチームを見ていて思うのは、以前にも増して自信が芽生えていること。今年はじめのアジア最終予選を優勝し、手倉森監督の下で築き上げてきたひとつの軸が強固になったんだろうと思うが、アジアを勝ち抜くのさえ厳しいと言われていた弱さは、もはや一切感じられない。
 
 そういった状況下で、選手たちも伸び伸びとプレーしながら、着実に成長を遂げている。その筆頭がガーナ戦で2得点を決めた矢島慎也だろう。最終予選での活躍からその存在感は明らかに高まっていて、この試合でも見事なコントロールショットでの1点目、右サイドからのクロスを正確に叩きこんだ2点目で、ポテンシャルの高さをあらためて示した。
 
 矢島に負けじと、Jリーグでも安定感を見せつける奈良竜樹や植田直通も非常に良いプレーを見せていたし、チャンスを与えられた富樫敬真、伊東幸敏もしっかりアピールに成功した。チーム内の競争が活気に満ちている現状は、本大会メンバーを選出する手倉森監督からすれば、良い意味で悩ましいだろう。
 
 選手、監督も含め、チーム全員が良い感触を掴みつつある今だからこそ、強い相手との腕試しをして本当の実力を測っていきたい。その意味で、メジャーな選手が見当たらなかったガーナの実力に不足感があったのは残念だった。
 
 本大会のグループリーグで戦うナイジェリアを想定していたらしいが、お世辞にもそれに匹敵するチームとは言えなかったし、球際の強さや爆発力といったアフリカのチーム特有のプレーで脅威になる場面はほぼなく、正直言って拍子抜けした。
 
 当然、本番ではこの試合のように中盤で自由にパスをさばかせてはもらえないだろうし、球際へのプレッシャーは比にならない。そういった意味でも、本大会前にチームの身になるような真剣勝負を、もっとこなしておきたい。
 

次ページ浅野や久保が絶対的な軸かと言われると…。

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