【リオ五輪代表】“新10番”の矢島が躍動。生き残りに向け、“得点力のあるボランチ”への進化を誓う

2016年05月12日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「左サイドのあの角度からのシュートは、練習どおりでイメージどおりの軌道」

左サイドハーフでスタメン出場。11分、15分と立て続けにゴールを決めてチームに流れを呼び込むと、58分からはボランチに入り、ユーティリティ性でもアピールした。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 ガーナ戦の11分、ペナルティボックスの左隅から鮮やかな放物線が描かれ、ガーナのゴールに吸い込まれる――。故障で招集が見送られた中島翔哉に代わって背番号10を纏った矢島慎也の一撃は、チームの勢いを一気に加速させた。左サイドのあの角度からのシュートは、チームでも取り組んでいた「練習どおり」「イメージどおりの軌道」だったという。
 
 すると、その4分後には右サイドを駆け上がったSB伊東幸敏のクロスに合わせて、逆サイドからするするとエリア内に侵入。豪快にダイレクトボレーを突き刺し、手倉森ジャパン発足から3年目、公式戦23試合目の出場で初の1試合・2ゴールを記録した。
 
「アジアの戦いからそうでしたけど、(相手は)クロスの対応に綻びというか、隙があるので、逆から入っていくのは意識していました。1点取って力が抜けたおかげで、(ボールを振り)抜いて当てられたと思います。序盤でトントンと2点入って、流れを上手く掴めましたね」
 
 矢島の見せ場はこれだけでは終わらない。58分、ボランチの大島僚太の交代に伴い、左サイドハーフからクラブで主戦場とするボランチにシフト。後半が始まる直前に手倉森監督から起用を匂わされていたというが、「頭の中に入れておきました」としっかり心の準備ができていた分、中盤を精力的に動きながら攻守でゲームをコントロールした。
 
 手倉森監督は今回のメンバーを発表する際、「(五輪で戦うには)3分の1以上はふたつのポジションをできる選手でないといけない」とポリバレント性の重要性を説いた。その意味で、「いきなりボランチをやれと言われても普通にできると思っている」と自信を覗かせる矢島は、指揮官の期待に十分応えられたと言っていいだろう。
 
「サイドとボランチで景色は違います。でも、どちらをやっても守備から入って良い奪い方して、前に出て行く――。そこから点を取ったり、アシストすることに関しては変わらない。どんどんメンバーが絞られていくなかで複数のポジションをやれて、さらにそこで質の高いプレーができれば、監督にとっては使いやすい選手になると思います」

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