焦って攻め急ぐフランスを嘲笑うかのように...。“賢い”スペインが見せつけたゲーム運びの神髄【EURO】

2024年07月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

素晴らしかった”見極め”

フランス戦で同点ゴールを決めたヤマル。写真:Getty Images

 現地時間7月9日に開催されたEURO2024の準決勝、スペインがフランスに2-1と勝利した。9分に先制されながらも21分にラミネ・ヤマルのスーパーゴールで追いつくと、25分にはこれまたダニ・オルモのスーパゴール(あのアウトサイドのトラップは神業)で逆転したのだ。

 スペインの上手さはもちろん、賢さが際立つ試合だった。上手さについては細かく説明する必要はないだろう。今大会のスペインは仕掛け、崩しの局面でのアイデアが豊富で、個々のスキルが極めて高い。ハイクオリティのフィニッシュワーク、華麗なパスワークの根底にあるのは一人ひとりの優れた基本技術、戦術眼である。

 その上手さ以上にフランス戦で強調したいのが、スペインの賢さだ。2-1と逆転したあとも追加点を狙うべくアグレッシブに攻め立てたかと思えば、後半途中からはあえて試合のテンポを停滞させるようなゲーム運びを披露。畳み掛ける局面と落ち着かせるところの見極めが素晴らしく、なかでも、焦って攻め急ぐフランスを嘲笑うかのように冷静にパスを繋いで"試合を殺した"70分以降の戦いぶりは称賛に値した。
 
 一方でフランスは先制したあとも個人技頼みのパフォーマンスは変わらなかった。組織らしい組織は見られず、個の力に加えてチームワークも備えたスペインに敗れるのは当然と言えば当然だったか。いずれにしても、今大会のフランスは最後までチームとして噛み合っていなかった。

 スペインが勝つべくして勝ったゲームと言えるだろう。90分をどう戦うか、その点でスペインは本当に賢かった。テクニック的な上手さだけではなく、試合運びの上手さ。その神髄を、この日のスペインは存分に見せつけた感がある。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集部)

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