小国ゆえの苦労もあるが...国際大会での躍進が続くパナマ、出場国増の恩恵に頼らず2度目のW杯出場を目ざす【コパ・アメリカ戦記】

2024年07月08日 浅田真樹

客観的に見て、両チームの力の差は大きかった

今大会も健闘を続けたパナマを応援するサポーター。写真:浅田真樹

 パナマの冒険は終わりを告げた。

 コパ・アメリカ2024準々決勝、パナマがコロンビアに挑んだ一戦は、5-0でコロンビアが大勝した。

 パナマとすれば、できるだけ失点を避け、接戦に持ち込むなかで勝機を見出したかったはずだが、前半だけで3点も失ったのでは勝負にならなかった。

 まず8分にハメス・ロドリゲスの右CKにジョン・コルドバが合わせ、先制されると、15分にはジョン・アリアスが倒されて得たPKを、ハメスが決めて2点目。40分には、ハメスがFKをすばやくディフェンスラインの背後に送り、走り込んだルイス・ディアスに決められ、点差はたちまち3点に広がった。

 後半に入っても、パナマは反撃に転じるどころか、さらに失点を重ねる。

 70分に、リチャード・リオスに豪快なミドルシュートを叩き込まれると、後半アディショナルタイムの90+4分には、再び与えたPKをミゲル・ボルハに決められた。

 パナマのトーマス・クリスチャンセン監督は、あまりに早い時間の失点を悔やんだ。

「最初の15分で2-0にされてしまった。それは相手の良さが出たのか、私たちのミスだったのか。おそらく、その両方だろう」
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 客観的に見て、両チームの力の差は大きかった。

 クリスチャンセン監督が「セットプレーはコロンビアの強み」と語ったように、確かに前半の3失点は、CK、PK、FKによるものであり、流れのなかから失ったわけではない。

 しかし、ボールを扱う技術はもちろん、スピード、インテンシティ、さらには攻守両面での切り替えの速さにも、明らかなレベルの違いがあった。

 コロンビアの完勝は、当然の結果でもある。だが、大敗を喫した後でも、クリスチャンセン監督はここまで勝ち上がってきた選手たちを称えた。

「昨日(試合前日)の記者会見でも言ったが、私はこの大会で選手たちがなし遂げたことをとても誇りに思っている。もちろん、最後は望む結果ではなかったが、これも経験だ」

 コロンビアの強さに「相手は27試合無敗のチーム。驚きはなかった」と語るクリスチャンセン監督は、「勝つ可能性はわずかだと分かっていながらも、もう少しできると期待したが、今日は学びの機会になった」と振り返る。

「若い選手はベストを尽くしたとは思うが、経験豊富な選手にもう少し頼らなければならないのかもしれない。あとでこの試合を分析し、改善の余地を見つけることになるだろう」

 そこには小国ゆえの苦労もあると、指揮官は語る。

「パナマには450万人の国民がいるが、天然芝のフィールドはひとつしかない。(今後の強化の)答えはトレーニングにあり、これからもトライし続け、新しい選手を育て続けるが、選手たちが成長できるように、天然芝のフィールドをもっと増やせるように求めてきたい。そうすれば他のチームと対戦する時に、選手たちに同じ条件を作ってあげることができる」

 パナマは、昨年のゴールドカップでも準優勝。そして今大会では、カナダとともにCONCACAF勢としての決勝トーナメント進出を果たした。

 グループステージではウルグアイにこそ敗れはしたが、アメリカ、ボリビアを連破しての堂々たる2位通過である。

「私たちは(CONCACAF)ナショナルリーグの準々決勝に進出しており、10月にはいくつかの親善試合も予定されている。そして、ワールドカップの予選の取り組みについても考えなければならない。それが私たちの当面の、そしてメインの目標になる」

 国際大会での躍進が続くパナマは、出場国増の恩恵に頼ることなく、自らの成長によって2018年に続く、2度目のワールドカップ出場を果たそうとしている。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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