ジェラード、ランパード、オーウェン…イングランド黄金世代が輝けなかった理由

2024年06月27日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ずっと烏合の衆でしかなかった

06年W杯は準々決勝でポルトガルにPK戦の末に敗退。結局、この「黄金世代」のビッグトーナメントでの最高成績は8強止まりだった。(C)Getty Images

 ハリー・ケイン、ブカヨ・サカ、フィル・フォデン、ジュード・ベリンガム、デクラン・ライス……。

 EURO2024を戦うイングランド代表は、前線から中盤にかけて多くのワールドクラスを揃える同国史上屈指のスター軍団だ。当然、今大会では国民からも悲願の初優勝を期待されている。

 振り返ると、2000年代~2010年代にかけてのイングランドも、スティーブン・ジェラードやフランク・ランパード、リオ・ファーディナンドといった名選手を擁し、現在のチームに引けを取らないタレント集団だった。

 しかし、その「ゴールデン・ジェネレーション」は、メジャートーナメントでことごとくファンの期待を裏切り、1966年ワールドカップ以来となるタイトルをもたらすどころか、国民に失望を与えたチームとして歴史に名を残すことになる。

 そんな「イングランド史上もっとも派手に期待を裏切った世代」は、はたしてどんなチームだったのだろうか。

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 何ひとつ勝ち取れなかった。何も成し遂げられなかった。

 タレントは間違いなく揃っていた。ワールドクラスの名手が、それこそ綺羅星のごとく居並んでいた。CBはジョン・テリーとリオ・ファーディナンド、左SBはアシュリー・コール。中盤にはスティーブン・ジェラードとフランク・ランパード、前線にマイケル・オーウェンだ。1978~80年生まれのこの世代は、まさしく「ゴールデン・ジェネレーション」だった。
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 それなのに、何ひとつ勝ち取れなかった、何も成し遂げられなかったのだ。この世代が中心となって戦ったメジャートーナメントは、ワールドカップもEUROもベスト8止まりだった。

 ワールドカップは2006年がベスト8で、10年はベスト16、14年はグループリーグ敗退に終わった。EUROは04年と12年がベスト8で、08年は予選で敗れ去っている。輝かしいはずの黄金世代は、イングランド代表史上もっとも派手に期待を裏切った、輝けなかった世代として記憶されている。

 チームとしてまったく機能しなかった。まとまりがなく、ずっと烏合の衆でしかなった。クラブチームでのライバル関係が、そのまま代表に持ち込まれていたのだ。プレミアリーグでの熾烈な争いによって醸成された敵対心は、簡単には溶解しなかった。

 代表のチームメイトは、仲間ではなく競争相手のままだった。リバプール勢、チェルシー勢、マンチェスター・ユナイテッド勢と、ロッカールームはクラブごとに派閥が割拠するそんな状態だったという。リバプールのジェラードにしてみれば、ユナイテッドの選手たちは同じ代表のユニホームを着ても、憎むべき宿敵でしかなかった。当時の心情を引退後にこう明かしている。
 

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