GS突破のドイツは「熟成としたたかさを感じる」戦いぶり。敵将は判定に激怒もギュンドアンは「プレミアなら笑われる」【現地発】

2024年06月22日 中野吉之伴

「ハンガリーに対する確かなマッチプランを準備している」

ギュンドアン(左)のアシストからムシアラ(右)が先制ゴールを奪った。(C)Getty Images

 EURO2024の開催国ドイツがハンガリーを破り、グループステージ2連勝で決勝トーナメント進出一番乗りを決めた。堅い守備と素早い攻撃の切り替えが特徴のハンガリーを相手に時折危険な場面も作られたが、GKマヌエル・ノイアーのファインセーブやDFヨナタン・ターのファインタックル、ヨズア・キミッヒの好カバーリングなどで無失点で終えられた価値は大きい。

 先制点をアシストし、試合を決定づける2点目を決めたキャプテンのイルカイ・ギュンドアンは「ハンガリーは時間帯によってとてもよかったし、僕らもパーフェクトではなかった。トーナメントではこうした難しい段階を乗り越えることが大事だ」と振り返り、チームとしての確かな積み重ねに手ごたえをつかんでいた。

 ユリアン・ナーゲルスマン監督はハンガリー戦前の記者会見で、「自分達はハンガリーに対する確かなマッチプランを準備している」と話していたが、その言葉通り入念な分析と準備でこの試合に臨んでいる。

 効果的だった仕掛けは相手のウイングバックを引き出し、その背後にできたスペースにFWカイ・ハバーツが流れ込んで起点を作るというもの。特に前半はスコットランド戦で高めのポジショニングを取っていた右ウイングバックのキミッヒがそこまで上がらないことで相手のウイングバックを自分に引き寄せては、その後ろにできたスペースにタイミングのいい縦パスを通す場面が目立った。
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 4分にうまくボールを収めたハバーツが中に持ち込んで放った左足シュートは勢いが弱くGKの正面を突いたが、11分のシーンでは一度相手CBヴィリ・オルバンに対してうまく身体を入れて至近距離からシュートに持ち込んだ。

 ここはGKぺーテル・グラーチのファインセーブで防がれたものの、スペースを狙って裏へと動き出すハバーツを警戒したハンガリーの3バックと中盤の間に隙間が生まれる。わずかなスペースがあればトニ・クロースはパスを通せるし、そこからジャマル・ムシアラ、フロリアン・ヴィルツ、そしてイルカイ・ギュンドアンは鋭くゴール方向へと動き出せる。

 そうした流れからギュンドアンとのコンビでムシアラの先制ゴールが生まれたわけだが、このシーンではハンガリーサイドからの猛抗議があった。ムシアラからのパスで抜け出しかけたギュンドアンと競り合ったオルバンが、体勢を崩して倒れたのを見てハンガリー選手はファウルをアピール。だが主審は流し、誰よりも素早くボールに反応したギュンドアンは、慌ててボールへ向かったGKグラーチをかわすと、素早くムシアラへパス。ワンタッチから迷うことなく放たれたシュートがゴールネットを揺らした。
【動画】ハンガリー指揮官が激怒したムシアラの先制弾

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