【広島】得点ランクトップを走るP・ウタカが挑む次なるミッションは?

2016年04月27日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「個の力」を活かすべく1トップで起用され、直近4試合で5得点を記録。

横浜が誇る強力CB(中澤/22番、ファビオ/5番)のマークをかい潜って2ゴール。今季の得点数を7に伸ばし、得点ランク1位に躍り出た。 写真:徳原隆元

 J1通算158点を誇る佐藤寿人がスタメンを外れ、エースナンバー10を背負う浅野拓磨も故障で戦線離脱――。昨季の年間優勝を牽引した得点源ふたりに代わって攻撃を牽引するのが、8節・横浜戦の2ゴールで今季の得点数を7に伸ばし、目下リーグ得点ランキングでトップを走るピーター・ウタカである。
 
 清水から期限付き移籍で加入した新助っ人は、5節の仙台戦から4試合で5得点。「量産体制」に入った要因のひとつに、1トップへの固定が挙げられるだろう。開幕直後に務めていたシャドーは、攻撃面だけでなく、守備でもCFやWBとの連係が求められる難解なポジションだ。P・ウタカの持つ「個の力」を活かす方法を模索した結果、森保監督は彼を最前線に配置する決断に至った。
 
「ウタカに攻撃と守備の両方やれと言うのはなかなか難しい。個の力を持っている選手なので、まずは彼の得点力を活かす。そのなかで、チームにどう融合させて、組織として良いエネルギーを作っていくかを意識しています」
 
 ひと言で「個の力」と言っても、昨季所属したドウグラス(現アル・アイン)のように独力でゴールを奪うタイプではない。P・ウタカは自らを「コレクティブなプレーヤー」「組織のなかで活きるタイプ」と評すように、周りの選手にパスを捌き、連動したアタックもできる。ポゼッション主体のパスサッカーをベースとする広島は、彼にうってつけの環境だ。塩谷司のロングフィードにミキッチが抜け出し、その折り返しをフィニッシュした横浜戦の2点目は、チームメイトとのイメージが合致した見事なゴールだった。
 
「シオ(塩谷)、ミカ(ミキッチ)とつないで良いボールが来たわけですが、ミカが深い位置で持った時にどこに来るかはだいたい予想している。自分は良いポジションを取ることを心掛けています。お互いがどういった動きをするか、して欲しいかは、練習から学習してイメージを共有している。あの場面を振り返ると、自分たちのチームワークが現われた典型的なゴールだったと思います」

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