【横浜】ただのシンデレラストーリーでは終われない――。「FWとして恐さが足りない」と猛省する富樫が自分に課す課題

2016年04月25日 小田智史(サッカーダイジェスト)

89分の決定機でシュートミス。同点のチャンスをフイにしてしまう。

富樫(17番)はわずかな迷いから、トラップではなくダイレクトでのヘディングシュートを選択してしまい、同点の絶好のチャンスを逃してしまった。 写真:徳原隆元

 1点ビハインドで迎えた広島戦の89分、途中出場の富樫敬真に絶好の見せ場が巡って来た。

 中央から一度右サイドに開くと、広島のWB柏好文の裏にするすると入り込み、スペースにパスを要求。ファビオからコントロールされた素晴らしいボールが入った。しかし――。

 頭でダイレクトに合わせに行ったシュートは大きく浮いてしまい、同点に追い付くチャンスをフイにしてしまった。
 
 ファビオからボールが入った時点で、富樫は完全にフリー。相手GKがいたとはいえ、ゴール前には十分なスペースが存在し、一度トラップしてからシュートに行く選択肢もあったように思える。富樫は試合後「トラップもできた」と認めつつ、頭の中に迷いがあったことを明かした。
 
「あの瞬間、『ジャンプしないとシュートが打てないかも』と自分の中で1回考えてしまって……。GKも少し前に出ていたので、当てるだけでファーを狙ったんですけど、浮いてしまいました。もっと冷静になれたはずだし、自分の未熟な部分が出たというか、(チャンスを決められず)残念です」
 
「冷静になれたら……」

 4月中旬、手倉森ジャパンに初招集された静岡合宿の清水戦でも聞かれた言葉だ。カイケの加入で立場はベンチスタートに戻り、ゴールからも約1か月遠ざかっている。そのなかで迎えたチャンスだっただけに、外したショックと悔しさは思わず天を仰いだ姿に凝縮されていた。
 
 静岡合宿では同世代の選手たちと汗を流して刺激を受けるとともに、日本代表、そしてリオ五輪への想いが強くなったという。次の代表活動にも招集されるためには、クラブでのアピールが不可欠となるが、それは「プレーの質を高めて、ステップアップしていく」(富樫)のが大前提にある話だ。
 
「初めての代表で、自分のストロングポイントを出せた部分はありました。でも、五輪に行って世界と戦うとなったら、間違いなく今の実力じゃ足りない。ただ選ばれるだけじゃなく、その先で世界に立ち向かっていくためにはひと回り、ふた回りと成長しないと難しいと思います」
 

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