「貢献はほぼゼロに近い」それでも上田綺世が力を込めた“オランダ1年目の価値”。激白30分にみる日本代表ストライカーの進化形【現地発】

2024年05月21日 中田徹

「シーズンの終わり方としては悪くはないのかなと思います」

ホーム最終戦、夫人とともに笑顔をみせる上田。シーズン終盤に尻上がりで調子を上げた。(C)Getty Images

 上田綺世はひとつキッカケを掴むと、ゴールを量産するタイプなのだろう。欧州初挑戦となった昨シーズン、セルクル・ブルージュ(ベルギー)ではシーズン序盤に苦しみながらも、12節からプレーオフ最終節までの29試合で20ゴールを固め取りし、大量22ゴールを記録してフェイエノールトへの移籍を勝ち取った。
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 日本代表でもそう。代表初ゴールまで13試合もかかったが、この1年間で11ゴールとエースストライカーの名に恥じぬプレーを披露している。

 ここロッテルダムでも30節まで2ゴールとなかなか結果が出なかったが、31節のゴー・アヘッド・イーグルス戦を皮切りに3試合連続ゴールと覚醒。最終節のエクセルシオール戦(4対0)ではノーゴールに終わったが、それでも上田は1アシストを記録。オランダリーグ初年度を5ゴール・2アシストのスタッツで終えた。

 上田の連続ゴールがスタートしたのは、KNVBカップ決勝戦直後のこと。1対0でNECを下したフェイエノールトはカップ王者に輝いたものの、15分間の出場に留まった上田はインパクトを残すことができずに終わり、ピッチの上では優勝の喜びを見せたものの、インタビューゾーンでは浮かない表情をしていた。そのときのやり取りを再現する。

「あくまで僕の仕事の本質は点を取ることなんで、そこですね」

――その悔しさは次のシーズンに取っておいて。

「そうですね。でも取っておく必要もないんですけど」

 その言葉通り、上田はゴー・アヘッド・イーグル戦の後半、2本のシュートを撃ちながらエンジンを温め、3発目のシュートでゴールを射抜いた。そこからの4試合で3ゴール。2アシストの追い込みを見せた。
 
 エクセルシオール戦後、この1年間を振り返った上田は「チームへの貢献はほぼゼロに近いと思っています」と言った。その悔しさは?

「いや、悔しいというのは別にないですね。それは自分の力だし。もう1回、今季の頭に戻ってやり直したとしても、たぶん何かをできたわけでもなく、そこまで結果が変わるわけではないですから。

 ただ、今シーズン、試合に出るために取り組んできたことは、僕にとってすごく価値があったと思います。リーグのレベルというよりも、自分のチームのレベルがぐんと上がったぶん、そこで毎日、刺激をもらえたのは僕にとってすごく良かった。ただ、期待して取ってもらったぶん、もっと結果でチームに貢献したかった思いはもちろんあります。

 そこの不甲斐なさみたいなものを感じますが、自分のパフォーマンスを向上させるために1年間、スタッフにも手伝ってもらいながらいろいろなことをしてきて、ようやく今、自分が成長して、最後に結果をある程度残すことができたので、シーズンの終わり方としては悪くはないのかなと思います」

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