【移籍専門記者】サポーターの愛情にゴールで応えるF・トーレス。アトレティコとの契約延長が視野に入る

2016年04月18日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

ファンの深い愛情にゴールという結果で応えている。

直近4試合で1ゴールずつ挙げているF・トーレス。アトレティコは今シーズン限りで切れる契約の延長を考え始めた。(C)Getty Images

 フェルナンド・トーレスは改めて、アトレティコ・マドリーへの愛を誓おうとしている。その左手薬指に指輪がはめられてから、もう10数年が過ぎた。16歳でトップチームにデビューし、「エル・ニーニョ」とファンに深く愛され、ほどなくキャプテンマークを腕に巻くアイコンとなった。
 
 一度は破産寸前まで悪化したクラブの財政を救うためリバプールへと旅立ち(2007年夏)、その後もチェルシーとミランのユニホームを身に纏ったが、最後に戻ってくる場所は故郷の古巣以外にありえなかった。
 
 いまチームを率いるのは、かつてチームメイトだったディエゴ・シメオネだ。4月5日のチャンピオンズ・リーグ準々決勝では宿敵バルセロナから先制ゴールを奪い、サポーターを狂喜の渦に巻き込んだ。
 
 ところがその後、闘争心が空回りしてイエローカード2枚で退場し、チームは残り70分近くを10人で戦わなければならなかった。アトレティコが逆転負けを喫した後、トーレスが一番最初にしたのは、サポーターの前で涙ながらに謝罪することだった。この真摯な振る舞いにファンは、愛情溢れる拍手で応えた。
 
 この温かい振る舞いに奮起したトーレスは、4月9日のエスパニョール戦、4月17日のグラナダ戦で2試合連続弾。深い愛情にゴールという結果で応えている。
 
 アトレティコとの契約は今シーズン末まで。しかし、両者のロマンスはもう少し続くかもしれない。直近4試合で4ゴールを挙げているトーレスとの契約延長を、クラブは真剣に考えている。最終的な結論は、シーズン終了後にクラブと代理人が話し合った末に出されるだろう。
 
 しかし今のところ、トーレスの頭の中にアトレティコ以外の選択肢はない。中国からの超巨額オファーを断った今冬から、考えは変わっていないのだ。愛する赤白のユニホームに、心からの忠誠を誓っている。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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