ほぼノーミスだったハンブルク戦の香川! 素晴らしかったファーストタッチ

2016年04月18日 遠藤孝輔

ワントラップでマーカーの裏をとり、ボールを左右前後に供給。

好位置で前を向いた時の香川は何かをやる。良さを十分に発揮してチームを完勝に導いた。 (C) Getty Images

 4月17日(現地時間)のブンデスリーガ第30節、ドルトムントが近年の対戦ではよく苦しめられているハンブルクに3-0の完勝を収めた。
 
 最大の殊勲者は、1トップとして先発出場したラモス。前後半に1ゴールずつを決めて、チームを勝利に導いた。
 
【試合レポート】ドルトムント 3-ハンブルク
 
 そして、このコロンビア代表に勝るとも劣らない輝きを放ったのが香川だ。
 
 トップ下としてピッチに送り込まれた彼は、立ち上がりから頻繁にボールに絡む。4分、右への展開で味方のクロスを引き出すと、11分には裏への抜け出しからCKを獲得した。
 
 2ボランチの右を担ったギュンドアンが前に飛び出すスペースを確保すべく、やや中央左にポジションをとりながら、シンプルなプレーで攻撃にリズムを加えた。
 
 何より素晴らしかったのはファーストタッチ。敵陣の中央部でボールを受けては、ワントラップでマーカーの裏をとり、ボールを左右前後に供給する。33分には、自陣の深い位置で味方のクリアーボールを拾うと、素早い反転からテンポ良く前線にパス。カウンターの口火を切る、鋭いプレーを見せた。
 
 38分に生まれた先制点は、躍動感に溢れる香川のパスから生まれたものだ。
 
 左からのショートコーナーでボールを持つと、グラウンダーのボールをエリア内に。これを受けたフンメルスがプリシッチに絶妙なダイレクトパスを送り、17歳の新鋭が見事にハンブルクのゴールを破った。
 
 そもそもこの左CKを得られたのも、鋭い反転で前を向き、左サイドの深い位置に侵入したプリシッチにパスを送った、香川の好プレーがあったからだ。
 
 2点リードの余裕が生まれた後半も、香川のボールタッチは冴え渡る。
 
 46分、センターサークル付近で後方からのパスを引き出すと、敵2~3人による包囲をまるで苦にせずに、広いスペースへとボールを展開。組み立ての局面における何気ないひとコマだったが、視野の広さと状況判断の良さを示してみせた。
 
 これといったミスがなく、ハンブルクの2ボランチ(エクダルとカチャル)を翻弄していた香川は、52分に大きな違いを作り出す。ラモスのスルーパスで相手DFラインの裏を突くと、ドリブルで相手GKが一発退場になるファウルを誘ったのだ。
 
 極めつけは86分で、ライトナーとの息の合ったパス交換から強烈な右足シュートを放つ。これは惜しくも相手GKのセーブに遭ったが、ラモスがこぼれ球を押し込み、数的不利ながら後半は無失点で凌いでいたハンブルクに引導を渡した。
 
 敵の守備ブロックを揺さぶる効果的なプレーを連発しただけでなく、香川は最後まで足が止まらなかった。
 
 バックアッパー主体だったこの日のゲームとは異なり、フルメンバーで臨むことが濃厚な水曜日の国内カップ準決勝ヘルタ・ベルリン戦でも、香川が先発に名を連ねる可能性は十分にあるだろう。
 
文:遠藤 孝輔
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