日本人として初のEUROへ。大舞台への準備は?サウスゲート、モンテッラ、デシャン、スパレッティ...各国監督との交流も【喜熨斗勝史の欧州戦記】

2024年04月24日 サッカーダイジェスト編集部

求められるタイトなスケジュールでのマネジメント

フランス代表のデシャン監督(左写真)やイタリア代表のスパレッティ監督(右写真)らと交流。多くの刺激を得たという。

 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。"ピクシー"と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。今回は開幕が迫ったEURO2024への準備や、レジェンドばかりの各国代表監督との交流の様子などを語ってくれた。

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 今年6月に開催されるEURO2024(ドイツ)まで残り2か月。22年ワールドカップ・カタール大会も凄い雰囲気の中で試合ができましたが、日本人は過去ひとりも参加したことない大会。それがどういうことなのか、どういうものなのか、今は想像もできないです。

 ですが4月7日から3日間、2024年EURO参加国が一堂に会したデュッセルドルフでのワークショップに参加して"戦いはすでに始まっている"と感じました。今回はそんな貴重な3日間について、主に話をしていきたいと思います。

 その前に、3月の国際Aマッチウイークでセルビア代表はロシア代表、キプロス代表と親善試合を行ないました。この2試合では久々の招集選手を含めて5人ほど新しくトライ。

 ロシア戦は前半21分でDFミラン・ガイッチ(CSKAモスクワ)が一発退場したこともあって0-4で敗れ、キプロス戦は主要メンバーを起用して1-0の勝利を収めました。選手個々のレベルやできることが確認できたし、チームとしてもアクを出すことができた。有意義な2試合だったと思っています。

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 そこからの1週間...いや代表キャンプ中からテクニカル分析とタクティカル分析、EURO予選を含めた自チームの問題点の抽出、対戦チームの分析などに多くの時間を割いてきました。実はパナシナイコスやPAOK、AEKの練習視察やスタッフミーティングのためにギリシャに滞在していたのですが、ほぼホテルと各クラブ練習場の往復で、自由時間は世界遺産のアクロポリスに行った5時間ぐらい。そんな濃密な1週間を経て、ミスター(ドラガン・ストイコヴィッチ監督)らとともにデュッセルドルフへ向かいました。

 このワークショップでの主な仕事パートはふたつ。ひとつは私がまとめた資料をもとに、ミスターとのミーティングです。テクニカルな話し合いを何度も行ない、EUROに向けた準備もできたと感じています。

 もうひとつは各国代表の監督やコーチ陣とのミーティングです。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、6月1日までは各クラブに拘束力があり、代表チームへの合流は同2日からと定められています。シーズンの疲労度を考慮しないといけないし、かつFWルカ・ヨビッチが所属するACミランはシーズン終了後の6月1日にローマとの親善試合のためにオーストラリア遠征が組み込まれています。

 各国コーチ陣とは「現代のナショナルチームは準備期間がとにかく少ない。その中で如何に戦術を落とし込めるか、コンディションを整えるのか」について意見交換しました。日本代表も同様ですが、各国代表はタイトなスケジュールの中でのマネジメントを求められています。

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