「日本代表監督はどうですか?」直球質問に広島のスキッベ監督は何と答えたか「今の自分にとって一番大事なのは...」

2024年04月21日 元川悦子

タイトル獲得に全身全霊を注ぐ

広島を率いるスキッベ監督。「国民性や土地にも感銘を受けています」と日本をこよなく愛している。(C)2024 S.FC

 サンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督が、35年以上もの長きにわたってドイツ、トルコ、スイス、ギリシャ、サウジアラビア、日本で指導に携わってきたことは周知の事実だろう。ドイツ代表で2002年の日韓ワールドカップを経験し、ギリシャでも代表チームを率いていたのだから、代表の指揮官としても十分に働けるはずだ。

 今の日本代表は森保一監督が率いている。2018年夏に就任した森保監督は、2022年カタールW杯のアジア最終予選で大苦戦を強いられ、一時は崖っぷちに追い込まれたが、W杯本大会でドイツとスペインを撃破したことで、4年間の続投を勝ち取った。

 あれから1年半が経過し、森保監督は今も2026年北中米W杯に向かい続けているが、「代表監督というのは、いつどうなるか分からない仕事」と口癖のように言う。万が一の事態が起きた時、あるいは2026年W杯後に「スキッベ監督を後任に据えたらどうか」という機運が起きてもおかしくないだろう。

「森保さんの後の日本代表監督はどうですか?」とドイツ人指揮官にストレートに問いかけると、彼は「フーッ」と息を吐きながら、困ったような表情を浮かべ、少し思いを巡らせながら、口を開いた。

「今の自分にとって一番大事なのは、次の試合です。未来を語ることよりも、目の前にある課題を一つひとつ、クリアしていくことが何よりも大切なんです。もちろん森保さんとはよく顔を合わせますし、情報交換もしています。彼のやっている仕事に対して、私は心からリスペクトを払っています。

 個人的には、サッカーを抜きにしても日本が好きだし、日本にいることをとても幸せに感じます。サンフレッチェやサッカーのみならず、国民性や土地にも感銘を受けています。まず人々が本当に親切ですよね。欧州とはまた違った優しさを感じています。町もキレイですし、日本の方が優れているところが数多くあると強く感じる日々ですね」
 
 自身の先々のキャリアへの言及を避けるのは、現役Jリーグの監督としてはある意味、当然のこと。今は広島のタイトル獲得に全身全霊を注いでいるのは間違いない。

 広島は森保体制だった2012、2013、2015年にJ1王者に輝いているが、それから6年間、タイトルから遠ざかることになった。その後、スキッベ体制1年目の2022年にルヴァンカップを制し、ようやく1つ目のカップを掲げることができたが、リーグ戦の方はまだ手が届いていない。

 2024年シーズンは開幕からJ1初昇格のFC町田ゼルビアがロケットスタートを見せ、昨季王者のヴィッセル神戸や同2位の横浜F・マリノスが出遅れるなど、「本命不在」の大混戦状態になっている。

 広島は9試合を終えた時点で、4勝5分の無敗。失点はわずか「5」と堅守が光っているが、勝ち切れないゲームがあるのも確かだ。この現実をどう打開し、勝点3を積み重ねられる状態を作っていくのか。指揮官のマネジメントを含め、今後の戦いが興味深いところだ。

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