安定した守備に支えられ、自在に攻撃を操るクロース。指揮官アンチェロッティも絶賛「パスミスをしないし、プレスを恐れない」【現地発コラム】

2024年04月06日 エル・パイス紙

「ちょっとクレイジーな奴だと思われているかもしれない」

マドリーでさすがの存在感を見せつけているクロース。(C)Getty Images

 トニ・クロースはスパイクの取り扱いおいても特別な選手だ。メーカーから変更するよう促されても、10年間同じモデルのスパイクを履き続け、ソールに至ってはさらに古く2009年製のものだ。

 練習前に自分で用具室で湿らせ、練習後にこれまた自分でブラシを使って洗う。ホペイロができることは限られている。「ちょっとクレイジーな奴だと思われているかもしれない」とクロースは自虐的に語る。

 もっとも、そのこだわりのお陰もあり、今シーズンもレアル・マドリーの攻撃をリードし続けている。開幕当初は、クラブが推し進める世代交代の煽りを受け、ベンチスタートが定着していたが、カルロ・アンチェロッティ監督が、攻撃をオーガナイズし、ビルドアップをスムースに進める選手はクロースをおいて他にいないという結論に達するには1か月半で十分だった。

 クロースの活躍を後押ししている重要なファクターの一つがアンチェロッティの采配だ。指揮官が編み出した新システムがジュード・ベリンガムのゴールを倍増させたことはよく語られることだが、クロースもまたその恩恵を受けている選手の1人だ。
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 分岐点となったのがアトレティコ戦での1-3の大敗で、その後、施された微調整で、クロースは、若い選手(現在はフェデリコ・バルベルデ)の後方支援を受けながらダブルボランチの一角としてプレー。守備力に長けるフェルラン・メンディ、相手にボールが渡るとただちに帰陣するベリンガムにも囲まれ、今シーズンは例年以上にボール奪取にも冴えを見せている。

「僕のクオリティだけでは、チームは何も勝ち取ることはできないけど、試合を支配するのに役立たせることはできる。(ジョゼップ・)グアルディオラの影響はあるかもしれない」とクロースは自らの役割について語る。

 安定した守備に支えられ、自在に攻撃のテンポを操る。「パスミスしないし、プレスを恐れない。常に身体の向きを工夫してプレーする」と全幅の信頼を寄せるアンチェロッティの采配も追い風に、ビンテージスパイクを履いたクロースのゲームメイクがマドリーをさらなる高みへと導く。

文●ロレンソ・カロンヘ(エル・パイス紙マドリー番記者)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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