せっかちな批評家に迫害されていたロドリゴが、わずか2試合で救世主に――サッカー界で深刻な評価の浮き沈み【現地発コラム】

2024年04月04日 エル・パイス紙

「サッカーにおいて長続きするものはない」

マドリーで異彩を放っているロドリゴ。(C)Getty Images

「マドリーに裏切られたことは一度もない」

 クラブのソシオはこう胸を張る。聞こえはいいが、レアル・マドリーがラ・リーガとチャンピオンズリーグ(CL)を闊歩していないときに、同じことを質問したい。

「サッカーにおいて長続きするものはない」

 むしろ心に響いたのは、ネガティブな結果に追い詰められた名将が口にしたこの言葉だ。サッカー界では、成功も失敗も、茶番であるだけはなく、日々、気まぐれの度合いが増している。シーズン序盤、ゴール運に恵まれず、最もせっかちな批評家に迫害されていたロドリゴが、わずか2試合で救世主となったことはその代表例だろう。

 2シーズン前のチャンピオンズリーグのマンチェスター・シティ戦のゴールで、我々はすでに彼がハチドリのように宙を舞う姿を見ていた。実際、ボールが足にくっついているようにドリブルで切り裂き、ダンサーのようにターンを繰り出すロドリゴは、すべてのゴールをバランス芸を盛り込んだショーに変えている。ロドリゴは変わったのか?いや、直近の試合、直近のプレーによって我々の意見が変わっただけだ。
 
 私は熱狂の波も悲観の波も疑ってかかるので、選手を定義し、評価する際にはできるだけ早く行うようにしている。ロドリゴはマドリーでの5シーズン目を迎えている。現時点では10点満点中8点、将来的にはもうワンステップ成長できる可能性を秘めているというのが私の彼への評価だ。

 毎シーズン、違った姿を見せてくれるし、サンティアゴ・ベルナベウをまるで自分の庭のようにプレーしている。長いシーズンの中でレベルが6点台に下がったり、10点台に跳ね上がったりするのは普通のことだ。しかし、ロドリゴは6点のパフォーマンスを見せる試合でも非凡なところを見せるし、10点満点のプレーする試合でも、天才が憑依るわけでもない。

 彼のレベルが8点であることを前提にすれば、時に批判の余地がある試合があるかもしれないが、この若さで、マドリーが求める領域に達しているという安心感をすでに醸し出しているのは実力の証だ。もっともロドリゴに起こっていることは例外ではない。シーズンを通して、毎週のように同じような不愉快なケースを我々は目にする。
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