【移籍専門記者】ベンゼマ、レバンドフスキ、イグアインなど「大物ストライカーの移動パズル」がさらに複雑化

2016年04月04日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

ベンゼマとレバンドフスキの交渉はセットにも?

(上段左から)ベンゼマ、イブラヒモビッチ、イグアイン、モラタ、レバンドフスキ、そしてカバーニ。今夏のストライカー市場はこの6人を軸に展開される。(C)Getty Images

 プレミアリーグとリーガ・エスパニョーラ、さらにセリエAとブンデスリーガと欧州4大リーグをまたぐのが、今夏のメルカート最大の焦点である大物ストライカーの移籍パズルだ。そのシナリオは、ますます入り組んだものになってきている。
 
 新シーズンからバイエルンを率いるカルロ・アンチェロッティが、レアル・マドリー時代の教え子カリム・ベンゼマを高く評価しているのは周知の事実。もし可能ならば喜んでバイエルンに引き抜くだろう。
 
 一方のマドリーにとってもこれは好都合。かねてから狙っているロベルト・レバンドフスキ獲得への道が一気に開けるからだ。2人の交換は具体化するだろうか? もちろんそれぞれの移籍交渉が個別に進む可能性もあるが、もし具体化するとしたら、2人セットの話し合いになるのが自然な流れだろう。
 
 レバンドフスキにとってマドリードが終着点なら、そこが単なる通過点に終わる可能性が高いのがアルバロ・モラタ。マドリーはユベントスからの買い戻しオプションを行使する意向を固めているが(選択権はマドリーにある)、それはロスターに加えるためではなく、より高い値段で転売するためだ。すでにアーセナルがその受け皿となるべく動き出している。
 
 モラタを手放さざるをえなくなりそうなユーベは、ベンゼマを補強リストに記している。ただ、バイエルンが相手ではあまりに分が悪い。
 
 しかし、このパズルで最も大きなピースは、彼らではない。その名前を聞いたら、ナポリ・サポーターは足が震え出すだろう。そう、ゴンサロ・イグアインだ。
 
 ナポリのアウレリオ・デ・ラウレンティス会長は、ボーナス込みで1000万ユーロ(約13億円)という破格の年俸での契約延長を準備しているが、ここまで30ゴールを叩き出してセリエA得点王レースを独走するアルゼンチン代表ストライカーは、来シーズンもナポリでプレーを続けるかどうかに確信を持てずにいる。それは今シーズンのナポリがスクデットを獲得できるかどうかとは、また別の次元の話だ。
 
 イグアインに関しては、アントニオ・コンテの新監督就任が内定しているチェルシー、そしてジョゼップ・グアルディオラがやって来るマンチェスター・シティが、ナポリをさらに上回る数字での契約をオファーする準備を進めている。
 
 そしてさらにここに、ズラタン・イブラヒモビッチ、エディンソン・カバーニというパリSGの2人までもが絡んでくるのだから、パズルがどのような形でハマっていくのか、予測するのは本当に難しい。
 
 いずれにしても、大物ストライカーたちが続々と新天地を求める、かなりエキサイティングな夏になるのは間違いない。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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