復帰&デビュー戦で宮市が示した積極性――「1対1で勝ちたかった」「ゴールが欲しかった」

2016年04月02日 山口裕平

「前よりも強くなって帰って来た」と指揮官も期待を込める。

昨年7月の大怪我から復活し、ついに新天地で第一歩を刻んだ。昇格圏内(2位までが自動昇格で3位がプレーオフ)を目指すチームにどう貢献できるか。写真は昨年6月のもの(左はリーネン監督)。 (C) Getty Images

 相手チームのゴールがオフサイドで取り消しとなり、ざわめきが残るスタジアム。そんななか、第4の審判が掲げたボードに背番号13が表示されると、スタンドからは大きな拍手が沸き起こった。
 
 ブンデスリーガ2部・第28節のウニオン・ベルリン戦。77分、途中交代で入った宮市亮がついに怪我(左膝前十字靭帯断裂)からの復帰を果たし、ザンクト・パウリでのデビューを飾った。
 
 試合後、宮市は「本当に長い8か月と1週間でしたけど、こうやってようやくピッチに立つことができて本当にうれしかったです」と、率直な気持ちを語っている。
 
 交代前、エバルト・リーネン監督から「ゴールを奪ってほしい。そして何より、楽しんでプレーしてほしい」と言葉をかけられた宮市は、81分に迎えた最初のプレーで、いきなり右サイドからドリブルを仕掛けてみせた。
 
「やっぱり、自分の良さっていうものは、あそこの位置(からの仕掛け)だと思うし、あそこで1対1で勝ちたかったんですけど……」
 
 惜しくも、この仕掛けは相手DFに阻まれてしまったが、長いあいだ、ピッチから遠ざかっていた宮市の意気込みを十分に感じさせるプレーだった。
 
 86分にはドリブルで中央へ持ち込むと、エリア内へ走り込んだ味方FWへスルーパスを送ったが、これも呼吸が合わず、シュートまで持ち込むことができなかった。
 
 いくらドリブルが持ち味の宮市でも、前には多くの相手DFがいたこともあり、可能性の高いスルーパスを選択したように見えたが、彼の頭のなかには違う選択肢もあったようだ。
 
「FWの動きを見ていたんですけど、もう少し強引に仕掛けてシュートまでいっても良かったのかな、と。ゴールが欲しかったんで迷ったんですけど、自分でいっても良かったかなとも思います」
 
 13分+ロスタイムという短い時間のなかで、宮市が攻撃に絡む機会は少なかったが、この2つのプレーのなかにも、ゴールを奪おうとする並々ならぬ積極性を見ることができた。
 
 試合はスコアレスドローに終わったため、昇格争いからは一歩後退することになったが(勝点46の暫定4位)、宮市は早くも次節の首位フライブルクとの戦いを見据えている。復帰を果たしたばかりだが、チームの役に立とうという意識は高いようだ。
 
 結果には繋がらなかったが、宮市の投入はチームに前への推進力をもたらしたという意味で、監督の判断は正しかったと言える。
 
 試合後、宮市のプレーに関する印象を問われたリーネン監督は、「前よりも強くなって帰ってきた」と語っており、終盤戦のこのタイミングでの復帰が、チームにとってプラスになるという見解を示した。
 
 今後もコンディションを見ながらではあるが、宮市に出場機会が与えられることになるだろう。彼がその期待にどこまで応えられるか、注目したい。
 
文:山口 裕平
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