なぜマリ戦の前半途中から4-4-2のようになったのか。相手を見ながら可変。大岩ジャパンの4-3-3を読み解く【U-23代表】

2024年03月24日 河治良幸

藤尾と並ぶような形で2トップに

マリ戦はインサイドハーフで起用された植中。試合の状況を見ながら柔軟に対応した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[国際親善試合]U-23日本 1-3 U-23マリ/3月22日/サンガスタジアム by KYOCERA

 パリ五輪を目ざすU-23日本代表は3月22日、京都でアフリカのマリと対戦、1-3で逆転負けを喫した。

 パリ五輪のアジア最終予選を兼ねるU-23アジアカップに向けた仕上げのシリーズ(25日にはウクライナと対戦)となる今回、この世代の主力として期待される欧州組の多くを招集できない状況で、大岩剛監督は4-3-3をベースにオプションの絞り込みに入っている。

 マリ戦ではFWの植中朝日(横浜)を中盤の左インサイドハーフで起用。シャドーとも呼ばれるポジションから攻守に絡んだ。後半からは細谷真大(柏)と染野唯月(東京V)の2トップを活かす4-4-2に変更したが、実は前半の早い時間から、ほぼ4-4-2に変わっていた。

 植中は現在、横浜で同じ4-3-3のインサイドハーフを担うが、中盤のコンビを組む渡辺皓太がアンカーの喜田拓也と攻撃を組み立てることが多く、植中は持ち前の機動力を活かしてフィニッシュに絡む比重を高くしている。

 植中は「ビルドアップは代表の方がもうちょっと参加するというか。時にはアンカーのラインに降りたりもする」と語る通り、アンカーの川﨑颯太(京都)の左脇でボールを捌くシーンも見られた。
 
 日頃からあまり慣れないプレーということもあり、植中は「(センターバックの)西尾隆矢(C大阪)からボールをもらって、リターンばかりになってしまった。相手の目先を変えるじゃないですけど、アンカーにつけたりとか、もっと前向きにターンするとかできたら良かった」と反省する。

 ただ、時間が経つにつれて高い位置に固定するような形で、途中から右側の山本理仁(シント=トロイデン)が川﨑と2ボランチのような関係になり、植中はFWの藤尾翔太(町田)にほぼ並ぶような、事実上の2トップになっていた。

「より理仁にビルドアップのところをやってもらって、自分は翔太の近くでプレーした方がうまく回るかなと考えた結果だった。自分でも考えましたし、チームとしても少しやってみようという感じです」

 そう植中が振り返る変更には2つの理由があったと考えられる。1つはビルドアップにおいて、アンカーの川﨑が、4-2-3-1を採用するマリのプレッシャーでハメられて、周囲のパスコースを見出しにくくなっていたこと。それが要因となり、苦し紛れに出した横パスをカットされたところから同点とされる失点につながった。

 このシーンでは、植中が降りてコースを確保してあげられていたら理想だったが、そもそも慣れていない役割で、横浜では相棒の渡辺にほぼ任せている分野でもあり、臨機応変にというのは難しい。

 マリのように前からハメてくる相手に対しては、やはり組み立ての得意な山本が下がって、常にパスコースを作る方が、ローリスクであることは間違いない。

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