【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のユナイテッドを振り返る vol.22~2011-12シーズン ~

2016年03月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

戦力を整えて開幕5連勝のロケットスタートを切ったものの…。

本職ではないセントラルMFをこなす献身性を見せたルーニーは、自己最多の27ゴールを記録。年明け1か月の不振がなければ、満点の出来だった。 (C) Getty Images

 イングランド史上最多19度目のリーグ優勝を成し遂げるも、チャンピオンズ・リーグ(CL)では、決勝でバルセロナの完成された攻撃の前に敗北した2010-11シーズン。その屈辱を晴らすべく、ユナイテッドはプレミアリーグ創設20周年の新シーズンに臨んだ。
 
 開幕前には、昨シーズンで引退したGKエドウィン・ファン・デルサルの後釜として、アトレティコ・マドリーから21歳のスペイン代表のダビド・デ・ヘアを獲得し、最大の補強ポイントをクリアした。
 
 さらに、ブラックバーンからイングランド人CBのフィル・ジョーンズを、アストン・ビラからウインガーのアシュリー・ヤングを迎えて、若手の補強にも成功したユナイテッドは、開幕5連勝のロケットスタートを切る。
 
 サンダーランドからレンタル復帰したダニー・ウェルベックを加えた攻撃陣が機能し、3節にはアーセナルを相手にルーニーのハットトリックを含む8発で大勝(8-2)を収めるなど、視界は良好だった。
 
 そのユナイテッドとともに優勝戦線に立ったのは、同じ街のライバル、シティだ。
 
 シーズン前には大型補強を展開し、セルヒオ・アグエロ、サミア・ナスリ、ガエル・クリシが加入。トゥーレ・ヤヤ、ダビド・シルバ、ヴァンサン・コンパニといった実力者を揃えていたチームはさらに選手層に厚みを増し、他を圧倒するタレント力を誇っていた。
 
 そのシティと直接対峙した9節のマンチェスター・ダービーで、ユナイテッドは1-6の大敗……。そこで一気に下降線を辿ることはなかったが、日程が経過していくとタレント力の差が露わになり始める。特に中盤センターは枚数も少なく、計算できるのはマイケル・キャリックのみだった。
 
 11月には故障者が続出し、ウェイン・ルーニーをボランチで起用せざるをえないほどの貧弱な陣容に陥る。これでは欧州を勝ち抜けるはずもなく、ベンフィカ、バーゼル、オツェルル・ガラツィと同組になったCLでは、グループステージで敗退。欧州での戴冠という目標は早々に潰えた。
 

次ページシティとのデッドヒートは非情の結末を迎え、7年ぶりの無冠。

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