【なでしこリーグ・ベレーザ】女子サッカーを盛り上げる“使命”を背負う岩清水が「私たちだけじゃない」と確信したこととは?

2016年03月28日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「ウチの前線の若い子たちが躍動してくれたら、“楽しいサッカー”が展開できる」

連覇を狙う新シーズンはドロースタート。それでも、岩清水にとっては若手の活躍、そしてサポーターの想いを肌で感じる貴重な試合となった。 (C)J. LEAGUE PHOTOS

「皆で女子サッカーを盛り上げ続けよう」
 
 日テレ・ベレーザと浦和レッドダイヤモンズレディースの開幕戦、両チームのゴール裏とバックスタンドには、女子サッカーにエールを送る横断幕が掲げられていた。その光景に特別な想いを抱いていたのが、ベレーザの岩清水梓である。チームキャプテンとしてなでしこリーグの開幕記者会見に登壇した彼女は、第一声で次のように語っている。
 
「まずチームの話をする前に、先日なでしこジャパンとして戦って、(リオ五輪の)出場権を獲得できず、本当に申し訳なく思います。いろいろな方々に迷惑がかかってしまうかもしれませんが、またなでしこリーグを応援してもらえるようなリーグにしたいです」
 
 リーグ戦の抱負の前に、敢えてなでしこジャパンの話題に触れた背景には、「なでしこジャパンの根底には、なでしこリーグがある」(岩清水)という信念があった。五輪出場権を逃した責任、女子サッカーの熱を冷めさせない使命を感じる岩清水にとって、サポーターからの横断幕は「私たち選手だけでなく、周りもそう思ってくれている」現実を知らせてくれる、大切な出来事だったのだ。
 
 試合は立ち上がりから浦和Lの激しいプレスでリズムを掴めず、ベレーザは7分にサイドを崩されて失点。岩清水もコースに入るのが遅れ、シュートを許してしまう。それでもその後は相手の攻撃を身体を張って撥ね返し、攻撃陣の反撃を待った。迎えた74分、途中出場の隅田凛(20歳)が同点弾。リーグ連覇を狙うシーズンの開幕戦は勝点1にとどまったものの、キャプテンは若手の活躍にチームとしての手応えを感じたようだ。
 
「前半は自分たちのサッカーを出し切れていなかったし、相手のほうがハードワークをして、球際でも戦っていましたが、ハーフタイムに『戦うところを戦わないと勝てない』と声を掛け合って修正できました。勝ち切りたかったので悔しいですけど、今までだったら追いつかずに負けてしまうゲームだったかなと思うと、この勝点1をプラスに捉えたい。
 
 ウチの前線には若い子たちが多くて、彼女たちが躍動してくれたらスリリングというか、"楽しいサッカー"が展開できる。若い子たちの自覚が同点に結び付いたと思うし、隅田は結果を出して途中出場の選手の役目をしっかり果たしてくれた。田中(美南/21歳)だったり、村松(智子/21歳)、籾木(結花/19歳)が中心となって、今ベレーザを引っ張っている。自分たちベテランが勝負所を読んで彼女たちをサポートながら、チームを締めていければいいかなと思います」
 

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