開幕2連敗の名古屋は巻き返せるか。急場しのぎは得策にあらず。“ケチャップの蓋”を開けるためには...

2024年03月04日 今井雄一朗

今はスクランブル状態

町田に敗れ、開幕2連敗となった名古屋。ここから挽回できるか。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 22年ぶりの開幕連敗を喫した町田戦の試合後、いまだ無得点のエース、キャスパー・ユンカーは苛立ちを隠せないような口調でこう言った。

「成功体験が必要なんだ。そして最初のゴールが決まった後に、その成功が訪れることを願っている」

 鹿島との第1節(0-3)も、町田との第2節(0-1)も名古屋は得点を挙げられず、計4失点を喫して敗れている。たしかに、現状のチームには成功体験が足りない。局面ごとの良い部分はふたつの試合から抽出できても、勝利に、得点につながっていなければどこか手応えが空虚なものになってしまうのもよく分かる。

 それは、こうした序盤戦で好調なチームに往々にしてある「勝って反省」という好循環の正反対だと思えば理解もしやすいだろう。今の名古屋には、まずは結果が必要だ。

 かといって、なりふり構わず闘うというにも段階が早すぎる。今季は大型補強と新たな攻撃の取り組みを昨季までのチームに上乗せし、より勝点を奪える懐の深さを手に入れるべくプレシーズンを過ごしてきている。

 それが、キャンプ中に前線の軸のひとりとなっていた山岸祐也が負傷離脱し、キャンプ後のプレシーズンマッチでディフェンスラインの中心であるハ・チャンレも離脱、開幕週になって3バックの左でビルドアップを担っていた河面旺成まで負傷するという不運に見舞われ、開幕戦のディフェンスラインは3人中2人がJ1開幕戦初体験という若く経験の浅い構成になった。
 
 そのフォローのために、各ポジションの選手起用にも手を入れながらの戦いはなかなかに厳しく、結果としては無得点、2戦4失点という結果となったが、この場をしのぐ戦いに打って出るのはやはり得策とは言えない。

 今はスクランブル状態なのだ。ベースには手を入れず、できる限りの手当てをしながらという意味での結果優先の戦いをしなければ、ここまでの積み上げがそれこそ無駄になる。

 ユンカーはまたこうも言っている。「良いところも悪いところも見て、改善していく必要がある。もちろん、ネガティブなことに目を向けたくはないけど、変えられることには目を向ける必要がある。それが重要だ。試合に勝つために、変えられることに集中するんだ」。

 ネガティブな点についてユンカーは「僕からは言うことはない」と口を閉ざしたが、彼が無得点であること、チームも無得点であることが答えではあると思う。どうやって得点を挙げるか、今季いまだお目にかかれていない初得点をもぎとるためにはどうしたらいいか。

 これは対新潟(3節)という部分にも関わり、何を策として長谷川健太監督が準備してくるかによって変わってくるとは思うが、ヒントはある。

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