【指揮官コラム】カターレ富山監督 三浦泰年の『情熱地泰』|プロでもアマでも、団体でも個人でも「今」をしっかり闘うことが重要だ

2016年03月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

プロとアマチュアとの境界とは?

監督として4チーム目となる富山での新シーズンが始まった。三浦監督の采配に注目が集まる。(C) SOCCER DIGEST

 プロフェッショナルとアマチュアの違いとは、いったいなんなのか――。
 
 いろんな分野の人と話をするが「サッカーのプロも、企業のプロも同じだ」とお互い確認し合うことは多い。
 
 もちろん、サラリーマンにもプロフェッショナルがいる。スポーツの世界で生きる人のみがプロフェッショナルと呼ばれるのではない。職人はその道のプロであり、寿司屋の板前さんなど、自営業を営む人たちは皆、プロと言えるのであろう。
 
 先日、東京から来た知人に、富山でファッション関係のお店を出している方を紹介してもらったが、その方は富山の人たちのためになかなか地元では見られない品物を主に東京から仕入れて、「良い店を」――我々で言う「良いサッカー」――を目指している。
 
 それは売り上げではないと言っていた。店を長く続けるだけでも簡単ではない。ただウチの店がなくなったら富山人がオシャレなものが見れなくなると……。
 
 話は変わって某日、東京の郵便局の中間管理職の人たちと話をする機会があったのだが、やはり若い社員のモチベーションを上げるのが大変だと真剣に考えていた。
 
 我々の世界であれば、好きなサッカーをして生きていけるだけにモチベーションをことさら問う必要はない。しかしそのモチベーションをキープすることはプロでさえ難しい。
 
 いったい、プロとアマチュアの境界とはどこにあるのだろうか。
 
 これも世界を走り回る企業の社長が言っていたことだが、一流大学を出て就職した人のなかには働かない人もいるという。そこへ入るための努力で雇用された瞬間、目標達成がなされて、あとは自分の時間を中心に過ごし、会社のためには働かないというのだ。これでは、せっかく有能だと思って採用した人材もまるで使えないということになる。
 
 もちろん、すべての人がそうではないが、その点ではJリーガーも同じであろう。将来有望と期待された選手でも、Jリーグのクラブに入った瞬間に目標達成となり満足すれば、その先は「プロフェッショナル」とはならない。
 
 ただし、プロスポーツの世界はプロとして契約解除ができる。ここがアマチュアとの大きな違いだ。気前のいい企業であれば、やる気のない社員も本人が言い出さない限り雇い続けてくれるだろう。だがプロは、その瞬間を、「今」を、しっかり闘えなければ、もはやプロではいられなくなるのだ。
 

次ページ大事なことは「今」をどう自信を持って闘えるか。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事