【今日の誕生日】3月20日/世界を驚かせ続けている守護神――ビーサント(元イングランド代表)

2016年03月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

番狂わせが起こりやすいFAカップの歴史で最大のサプライズ。

FAカップ史上最大のアップセットを演出した守護神ビーサント。自身のキャリアの転換期ともなった。 (C) Getty Images

◇デイブ・ビーサント:1959年3月20日生まれ イギリス・ロンドン出身
 
 現在、イングランドではレスターが首位をひた走っている。開幕前にはプレミアリーグ残留が目標といわれていたチームの快進撃は、1977-78シーズンに昇格1年目でリーグ優勝を果たし、さらに翌シーズンより欧州連覇を果たしたノッティンガム・フォレストの奇跡を思い起こさせる。
 
 クラブ間の格差が年々大きくなり、近年はチェルシー、マンチェスターの2クラブ、アーセナルといった限られた数チームでリーグの覇権が争われてきたプレミアリーグ。この流れはずっと続くものと思われていたが、やはり勝負とは予測不能なものだ。
 
 長丁場で試合数も多いリーグ戦ですら、時にこのような事態が起こるのだから、カップ戦の場合は何でもあり得ると言えよう。とりわけ、ホーム&アウェーではなく、抽選でどちらのホームで行なうかが決まるFAカップの場合、番狂わせはひとつの名物にもなっているほどだ。
 
 近年では、リーグ、欧州カップなど試合数の増加もあって、上位クラブによっては優先順位の低いこの世界最古のカップ戦にはメンバーを落として臨むこともあり、より思わぬ試合結果が出やすい状況になっている。
 
 2012-13シーズンの決勝戦では、リーグで18位(降格)のウィガンがマンチェスター・シティに後半アディショナルタイムで決勝ゴールという劇的な結末でタイトルを獲得。07-08シーズンはポーツマスとカーディフが決勝に進出し、前者がこの驚きの対決を制した。
 
 そもそも、決勝のカードを振り返るだけでも、この十数年あまりでハル、ウィガン、ストーク、ポーツマス、カーディフ、ミルウォールといった中堅以下のクラブが勝ち上がりを決めた。もちろん準決勝以下では、強豪クラブが頻繁に足元をすくわれている。
 
 さて、80年代をさかのぼってみると、歴代優勝チームのなかに見慣れない名前を見つけることができる。ウィンブルドン。テニスの世界でなら最もメジャーなこの名前を持つクラブが87-88シーズン、強豪中の強豪リバプールを下したのである。
 
 世紀のアップセットともいわれたこの一戦で、ウィンブルドンのキャプテンを務め、守護神としてリバプールの猛攻を全てはね返したのがデイブ・ビーサントだ。
 
 79年、彼が20歳の時に加入したウィンブルドンは、一時は4部リーグまで落ちたものの、そこから勝ち上がって85-86シーズンに1部昇格。そして翌シーズンより、ジョン・ファシャヌ、ヴィニー・ジョーンズといった個性的かつ能力の高い選手を擁したチームは、6位、7位の好成績を残した。

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