旗手怜央、ここにあり――久保が躍動し、遠藤が奪いまくって、左サイドが活性化。中盤の最適解を導き出す【アジア杯】

2024年01月25日 元川悦子

出し手にも受け手にもなれる

絶大なプレゼンスを示した旗手。攻守両面のつなぎ役として奮戦した。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

[アジア杯GS第3節]日本 3-1 インドネシア/1月24日/アル・トゥマーマ・スタジアム

 勝利がマストだった1月24日のインドネシア戦。日本代表の森保一監督は先を見据えて、19日のイラク戦からスタメンを8人変更。フレッシュな陣容で戦った。

 とりわけ、注目されたのが中盤だ。これまで遠藤航(リバプール)と守田英正(スポルティング)の鉄板ボランチにこだわってきた指揮官だが、今回は守田に代わって旗手怜央(セルティック)を抜擢した。

 選手たちはスタート時の4-2-3-1の布陣を、自分たちの判断で4-1-4-1に変更。旗手が"8番ポジション"に上がって、久保建英(レアル・ソシエダ)とほぼ横並びになりながら、攻守両面のつなぎ役として躍動。中盤を大いに活性化したのである。

「今日はポジション的に、6番(ボランチ)と8番(インサイドハーフ)のポジションっていうところはすごく言われていた。タケがすごくいろんなところに顔を出して動いている分、僕がそこでうまく気を遣ってポジションを取ることを意識しました」と旗手はコメント。人と人の間に立つ巧みな位置取りで、周りが確実に活きるようになったのは確かだ。

 たとえば、左サイドで言うと、中村敬斗(スタッド・ドゥ・ランス)と中山雄太(ハダースフィールド)は一緒に試合に出た回数が少ないコンビだが、旗手がいることでコンビがスムーズになり、何度か効果的な崩しが生まれたのだ。

「特に後半、中山選手とか旗手選手、2点目の堂安選手に出したパスとか、良い連係を見せられたかなと。旗手選手がインサイドハーフに入ったことで、今までとは違う、より攻撃的なスタイルにチェンジできて、すごくやりやすかったです」と、中村も嬉しそうに語っていた。
 
 久保にしても、右の堂安律(フライブルク)や毎熊晟矢(C大阪)と近い距離で連動。自らもゴール前に侵入するプレーを何度か出せていた。それも左寄りの位置で旗手が良いバランスを取っていたからこそ、思い切って行けたのだろう。

「僕が動いた時にタケもすっと下がってきたり、僕の動きを見てくれていたところもあるので、そこはすごく良かった」と、旗手も久保の戦術眼と位置取りの上手さに感謝していた。

 さらに言うと、遠藤がアンカー気味に陣取ったことで、持ち前のデュエルの強さ、ボール奪取力を出すことに集中できた。それが試合を落ち着かせる大きな要因になったのは確かだ。

「今日は4-1-4-1というか、アンカー気味にプレーしていたので、『結局、自分のところで奪えばいいんでしょ』っていう話で。それはリバプールでやっていることと同じというか、そこは自分に求められている部分。

 代表だけでなく、リバプールでずっとトライしているところではあるので、そこは今日もしっかり自分のところで奪い返すことを意識したし、セカンドを拾うところも含めて、運動量を多くやれたと思う」と、遠藤は今大会突入後、初めて納得いくパフォーマンスを出せた様子。旗手という、出し手にも受け手にもなれるMFが近くにいたから、彼は彼らしい仕事に全力を注げたと言っていい。

【PHOTO】日本代表のインドネシア戦出場16選手&監督の採点・寸評。5人が7点台の高評価。全得点に絡んだ9番をMOMに選出

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